救える命架け橋に 福医大移植医療支援室(福島市)に配属 舟山久美さん 誰もが当事者 関心を
福島県臓器移植コーディネーターの舟山久美さん(38)は、福島医大付属病院(福島市)が1日に設置する「移植医療支援室」に配属される。支援室設置を契機に、救える命を守るとともに、臓器提供に関する県民の関心をさらに高めたいと誓う。不慮の事故や突然の病で誰もが当事者になり得る脳死や臓器移植。「多くの人が身近に感じるきっかけをつくりたい」と決意を新たにしている。 舟山さんは看護師として福島市や県外の医療機関に13年ほど勤務し、2019年度に県臓器移植推進財団のコーディネーターとなった。同じくコーディネーターを務める関口志保子さん(57)と二人三脚で各医療機関の体制整備の支援、臓器提供発生時の連絡調整、遺族対応に加え、子どもをはじめ県民に向けた出前講座などで啓発を担ってきた。 臓器提供件数の増加などに伴い、関連する報道が増え、国内での注目度は高まっていると感じている。一方、看護師やコーディネーターとして働く中で、医療関係者が臓器提供について学ぶ機会が少ない現状を痛感してきた。
「臓器提供の対応を知らないので取り組めない」「患者さんの家族にどう伝えればいいか分からない」。県内の医療機関を訪問する中、実績がなく提供事案への対応に悩みや不安を抱えるケースが多いと感じた。 医療関係者の知識を高める重要性を身をもって感じているからこそ、医療機関の体制を強化する移植医療支援室の役割の大きさを痛感する。同時に、設置が決まったことで、医療関係者や患者、その家族らをつなぐ架け橋としての機能が高まると期待している。 舟山さんは「臓器提供する意思、しない意思の両方が尊重される。医療体制が強化されれば、患者それぞれがその人らしい最期を迎えられる手助けになるはず」と一人一人の思いに寄り添う大切さを訴える。 移植医療の現状を知ってもらい、普段から家族で互いの意思を話し合っておくことが重要だと考える。「コロナ禍を経て命について考える機会は増えた。移植医療の現状を多くの人に知ってもらう活動を地道に続けていく」と話している。