「治療薬」開発へ連携強化 福島医大×アルカリス×医大TR財団
福島医大と医薬品受託製造のARCALIS(アルカリス、南相馬市)、福島医大トランスレーショナルリサーチ機構(TR財団)の3者は、遺伝子物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」を使った医薬品やワクチンの研究開発を共同で進めるための覚書を結んだ。感染症やがん治療に役立てるワクチンの実用化など、本県発の革新的な治療薬の開発を目指す。 医大などが19日、発表した。mRNAは新型コロナウイルスワクチンで実用化され、注目を集めた。国内では、明治グループの医薬品事業会社「Meiji Seika ファルマ」(東京都)が開発したmRNAワクチン「レプリコン」が承認され、アルカリスが本格製造に向け準備を進めている。承認を得るまでの過程では医大が治験に協力しており、アルカリスと医大は連携してきた経緯がある。 覚書の締結によって連携を強化する。医大が医療ー産業トランスレーショナルリサーチセンター(TRセンター)浜通りサテライト(南相馬市)を中心に進めてきた「抗体研究」の強みと、アルカリスが持つ「抗原」の知見や技術を生かし、研究開発を進めていく。覚書締結は14日付。 医大の竹之下誠一理事長は「抗原と抗体を車の両輪として研究開発を進めるとともに、アルカリスのmRNA医薬品・ワクチン原薬製造の取り組みとの連携を深め『福島、すなわち、浜通りの抗体が世界を救う』と言われるよう取り組みたい」、アルカリスの高松聡社長は「福島発の革新的な治療薬の創出を目指し、連携していく」、TR財団の家村俊一郎理事長は「浜通り地区の医薬品関連産業の拠点構築に向けた取り組みを加速させたい」とコメントした。
福島民友新聞