<上海だより>上海セレブには流行遅れ?巨大ショッピングモール「環球港」
最近オープンする商業施設の特徴として、単なる店舗の集合体ではなく、体験型のエンターテイメント施設や、アートスペースなど文化的空間を設けることが増えており、この施設内には2フロアを使用して日本でおなじみセガのジョイポリスが開業している他、美術展を開催できるスペースもあります。このような娯楽施設としては、今年は完全にディズニーに集客を奪われてしまっていますので、今後の巻き返しは重要な課題でしょう。
最上層部の4階はレストランスペースとなっており、縦に長い敷地を活かした廊下部分もエントランスホール同様にガラス天井で、施設内ですが天気のいい日には陽の光を浴びながら散歩をしている気分を味わえます。また、線上に施された中国的なパターンも気になりますが、ここでもどこか古代ローマ風の装飾があてがわれています。
このような内装について批判的な評価を挟みながら紹介してきましたが、やはり上海人にとってはすでに流行遅れと捉えられるようで、「環球巷」に対してあまりいい評価を聞きません。確かに、流行を追う上海人の価値観としては、世界的にも流行しているようなもっとシンプルな雰囲気が好まれているように思えます。一方で、上海市は地方出身者の人口も1000万人ほどあり、実際その間にある趣味嗜好や消費傾向は大きく異なるようにも思えますし、何より当の上海人自身がそこに差をつけたがっている傾向もあります。 テナントの傾向からしても、アッパー層上海人ではなく、地方出身者や学生層などを中心にしたターゲティングを感じられますし、実際の来店者層も若年層をよく見かけます。一方で、日本と違い、学生でアルバイトをしている人が少数派な上に、アルバイト代も雀の涙程度が現状の中国において、このような消費者層に対してこのようなモールで採算がとれるのか、少々気にはなりますが、今後のハイアットオープンや施設周辺の開発も進むことで新たな展開を見せていくかもしれません。