IOCのバッハ会長が「夏に限らない」と暗に可能性を示唆した4月開催“サクラ五輪“は本当に実現可能なのか?
新型コロナウイルスの影響で東京五輪の1年延期が決定、IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長は、メディアの電話取材に応じ「日程変更は大きなジグソーパズル。新たな開催日は夏の何か月かに限られることはないだろう」と発言した。海外メディアが一斉に報じたもので、「すべての選択肢を検討中」とコメントした。 これはIOCの一部のメンバーが明かしていた4月開催の“サクラ五輪“を暗に示唆したものと受け取ることができ、USAトゥデイなど複数の海外メディアは「バッハ会長のコメントは延期された五輪が日本で有名な桜が満開となる春に開催されるかもしれないことも示している」と報じた。 “サクラ五輪“実現の可能性は本当にあるのか? 4月開催となれば、東京五輪の最大の問題点として指摘されていた酷暑を避けることができる。アスリートの健康面を考慮すればメリットはある。そうなれば酷暑を避けるため札幌に開催場所を移されていた男女マラソンを当初の予定通りに東京で開催できるかもしれない。 また1年延期することでかさむ膨大な大会経費の削減にもなる。 当初、東京五輪、パラリンピックの組織委員会や大会関係者の人件費、各種の維持費などの予算は9月までをメドに立てられていた。延期により、それらの諸経費は、大幅にオーバーとなるが、4月開催と7月開催では大きく違ってくる。 4月開催なら2021年夏に予定されている世界陸上(米国)、世界水泳(日本)のスケジュールを動かす必要もない。 だが、一方で4月開催には大きな障害もある。ひとつは巨額な放映料を支払っていて、IOCへの影響力の大きい米NBCの意向。まだ新型コロナウイルスの影響が来年のスケジュールにどう影響するかわからないが、通常通りの日程であれば、4月には、米4大プロスポーツのメジャーリーグが開幕、NBA、NHLが、それぞれプレーオフに突入する。視聴率のとれるコンテンツと東京五輪とのバッティングはNBCとしては避けたいのが本音だろう。IOCがNBCに忖度する可能性は十分にある。