８回表無死、末包を遊飛に打ち取った松山

◇23日　中日1―0広島（バンテリン） 　中日の松山晋也投手（24）が初のタイトル獲得に迫った。23日の広島戦（バンテリンドームナゴヤ）で1点リードの8回に2番手で登板し、打者1人を打ち取り今季39ホールド目。41ホールドポイント（HP）としてリーグ1位の阪神・桐敷へ1差とした。最優秀中継ぎ投手賞を視野に入れる右腕が初の4連投でチームの勝利に貢献。試合はそのまま1―0で逃げ切り、チームは今季2度目の4連勝を飾った。 　開いていたトップとの差をジリジリと詰め、ついに”鼻差”にまで迫った。1点差の8回。定位置のマウンドに上がった松山は、いつも通りひと呼吸置いてから打者と向き合った。 　「4連投はプロでも初めて。人生でも初ですね。いつもより脚が動いてないかなと思いましたが、とにかく抑えることだけを考えていました」。4球で末包を遊飛に打ち取り、斎藤につないだ。 　志願の4連投だった。20日からの神宮でのヤクルト2連戦に連投し、移動ゲームとなった22日も本拠地のマウンドへ。この日は本来ならベンチを外れるはずだったが、落合、大塚両投手コーチに「投げさせてください！」と自ら願い出てワンアウトを取った。 　これで41HP。19日時点でリーグトップの阪神・桐敷と5差まで広がっていたが、怒濤（どとう）の追い上げで1差に迫った。「この期間までタイトル争い、野球ができていることに感謝したい」 　いつでも後ろからまくっていく人生だった。青森・八戸学院野辺地西高では全国的に無名の存在。八戸学院大で野球を続けるにも自宅から遠いため寮に入らなければならず、アルバイトも禁止されていた。「両親には無理を言って行かせてもらいました。感謝しかないです」。プロにも育成選手で入団。背番号3桁の悔しさをバネに1年目で支配下選手登録を勝ち取り、今年は侍ジャパンや球宴に選ばれる栄誉も得た。 　本拠地では今季26試合の登板で無失点。シーズン50試合以上に登板し、年間を通じて無失点だった中日の投手は、セットアッパーだった2003年にナゴヤドームで23試合を無失点に抑えた岩瀬仁紀だけ。タイトルだけでなく、偉大な記録にも並ぼうとしている。