「クリックさえしなければ・・・」増えるSNS型投資詐欺の被害 漫画アプリ利用中に出てきた広告が入口に、1680万円被害の男性が証言
投資への社会的な関心が高まる中で「交流サイト(SNS)型投資詐欺」の被害が増加している。ネット上の広告からラインなどSNSのグループに誘導して虚偽の投資話を持ちかける手口。1680万円をだまし取られた広島県東広島市の会社員男性が取材に応じ、投資をあおる巧妙な手法を証言した。 【写真】詐欺に使われたネット広告 「クリックさえしなければ…」。男性はそう声を落とした。昨年10月、漫画アプリを利用中にスマートフォンの画面に表示された広告が、わなの入り口だった。 広告は「ノーリスク投資法」とうたい、クリックすると、株の勉強会と称するライングループに招待された。そこでは投資家を名乗る人物ら約20人のメンバーが投資の成果を報告し合っていた。 男性はグループ内で「もうかる」と、原油売買のプロジェクトを勧められ、取引ができる口座のアプリをダウンロード。初回取引で約10万円の利益を得たようにアプリ上で表示されたという。 外国為替証拠金取引(FX)の経験もあった男性だが「もうかったと思い、周囲が見えなくなった」と、のめり込むようになった。追加資金や指導料を要求され、11回にわたり指定された口座に振り込んだという。 税金を支払うための資金が必要と言われ、不審に思い警察に相談し詐欺と判明。男性は「うまい話はないと早く気付くべきだった。幼い娘がいてお金が必要になるのに」とうなだれる。 SNS型投資詐欺の認知件数は全国で増加傾向だ。警察庁の集計では昨年1~6月は月100件前後で推移していたが、7月は204件と急増。12月は369件に。被害額は全体で約278億円だった。広島県警によると、県内の今年の認知件数は2月末時点で28件。被害額は約3億1千万円で、昨年1年間の約6億7千万円の半分近くになっている。
中国新聞