介護送迎死亡事故、運転の契約社員に執行猶予付き有罪判決 ワンオペ生活で疲労蓄積「被告1人を強く非難するには酷」 佐賀地裁
佐賀市諸富町で昨年12月、介護施設の送迎車が対向車に衝突して利用者2人が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死)の罪に問われた契約社員の女性被告(42)=佐賀市=に佐賀地裁は16日、禁錮3年、執行猶予5年の判決を言い渡した。検察側は禁錮4年6月を求刑していた。 松村一成裁判官は判決理由で、運転中に居眠りをしたため事故を起こし、2人を死亡させたとして「過失自体は小さいものとはいえない。被害結果の重大性から厳しい処罰も視野に入れるべき事案」とした。 一方で、被告が家事、育児の負担を大きく背負って「いわゆるワンオペの生活を送り、疲れが蓄積していたことも要因として無視できない」と言及。運転が職務の一環だったことや、事故時のスピードや事故の衝撃度がそれほど大きくなかった状況も考慮し、「被告1人を強く非難するには酷な面もある」と判断した。被害弁償が見込まれていることなども踏まえ、執行猶予を付けた。 判決によると、被告は昨年12月7日午後4時半ごろ、眠気を催して運転を中止すべき注意義務を怠って介護送迎車を運転し、居眠り状態で対向車線に入ってトラックと衝突させ、送迎していた80代女性と90代女性を死亡させた。