ブームから文化へ。地域アイドル成功の条件と注目の未発掘グループ
今年も3月11日が迫ってきた。東日本大震災の直後は、東京で開催予定だった芸能イベントもほとんどが中止、自粛され、芸能人も自分たちのPRより被災地への募金活動やボランティアに奔走した。そしてこの3.11を機にガラリと様相が変わったのが、地域アイドルの世界だ。震災から7年目を迎え、何がどう変わり、そしてどこへ向かうのか。 ファンとの距離が裏目に、小金井刺傷事件にみる身近なアイドル警備の難しさ
3.11東日本大震災が転機となった地域アイドル
いまや日本全国に存在する地域アイドル。多くは複数のメンバーから構成されるグループだが、地方アイドル、ローカルアイドル、ご当地アイドルなどとも呼ばれる。本当に近隣の商店街を盛り上げる目的で地域に特化したアイドルもいれば、全国区で売れることがご当地のPRにもつながるとメジャーデビューをしてコンサートツアーを行うアイドルまでいる。いわゆる「あまちゃん」(2013年に放送され高視聴率を記録したNHK朝の連続テレビ小説)のあたりから地域アイドルのブームが起きたという説もあるが、それはいささか不正確な説のようだ。 日本ご当地アイドル活性協会に話を聞くと、「『あまちゃん』ブームから地域アイドルの火がついたというのは間違いかと。その前から数は増えてましたし、『あまちゃん』で一般の方が認知したというだけ。正確に言うと、AKB48さんが100万枚セールスしてテレビなどメディアに出だしたこと、ももいろクローバーZさんが露出されたあたりが地域アイドルブームの端緒と言えるでしょう」とのことだ。 ももクロは2010年にはメジャーデビューしている。つまり、震災の時にはすでに地域アイドルブームは始まっていたのだ。
事実、同協会の立ち上げのきっかけとなった「東北震災復興チャリティーイベント」も2012年3月。震災から1年、芸能界のみならず、地方から日本を盛り上げようという動きが活発化した。「あまちゃん」放送開始は2013年4月だが、それより3カ月前、1月には「LinQ」(福岡)、「Dorothy Little Happy」(宮城)、「ひめキュンフルーツ缶」(愛媛)といった地域アイドルがアイドル界に台頭してきた。 「LinQ」は、メジャー移籍第1弾シングル「チャイムが終われば」がオリコン3位に輝くなど、地域アイドルながら全国区の人気を獲得している。そんな背景のもと、4月から9月にかけて放送された「あまちゃん」は、この地域アイドルブームを後押しして、地域アイドルに市民権が与えられることに貢献したといえそうだ。実際、「あまちゃん」の時代設定は2008年夏~2012年7月で、震災からの復興も物語に盛り込まれている。