知られざるコーヒー大国日本 「喫茶ショー」で新しい味探し
食材や最新機材などを一堂に集めた「カフェ・喫茶ショー」が14日から3日間、東京ビッグサイトであった。消費量では世界4位とコーヒー大国の日本だが、市場はまだ拡大する余地があるとみられ、喫茶店経営者や開業を目指す若者らが、新しい味や経営のヒントを探して回った。
メニュー開発や店舗運営ノウハウも
コーヒー市場は群雄割拠の時代に突入したといわれる昨今、喫茶店やカフェだけではなく、コンビニでも高品質で提供されるようになった。また、ファミリーレストランでも本格的なコーヒーマシンが置かれるようになり、味は格段に向上している。
缶コーヒーもブラジル・コロンビア、ベトナム、インドネシア、エチオピアなど産地で細分化されるようになり、無糖・微糖・低糖・加糖とバリエーションが増えるなど、消費者の好みは多様化している。 そのため、消費者が喫茶店・カフェに求めるハードルは厳しくなっていて、コーヒーの味を向上させるのはもちろん、パンや軽食類といったコーヒー以外のプラスαをPRするブースが目立った。会場はコーヒーの芳醇な香りに包まれ、あちこちで焼き立てパンなどの味見コーナーもある中、来場した喫茶店経営者やバイヤーたちは、厳しい目と口で新しい味を探していた。
また、最近の飲食業界は慢性的な人手不足にも悩まされている。喫茶店やカフェでも省力化のために大型機械を導入している店は多い。そうした課題をクリアするべく、最新の機械も多く展示されていた。 イベント期間中には、全国から選別されたバリスタたちによってコーヒーの味を競い合う「バリスタグランプリ2017」、コーヒーとアルコールを組み合わせて新しい味をつくる「コーヒー・カクテル・コンベンション」、メニュー開発や店舗運営のノウハウなどを学ぶセミナー・実技講習会なども催された。
日本は世界第4位のコーヒー消費大国だが、一人あたりの消費量は世界大10位にとどまる。それだけに、まだ市場は拡大するとの見方もあり、全国展開しているコーヒーチェーン店は、常に新しい味に挑戦している。新規に参入するチェーン店も多く、いまだにコーヒー業界は群雄割拠の状態にある。 さらに、個人経営の喫茶店もいまだ根強い人気がある。そのため、脱サラして個人で店を構えようと考える人も多い。同イベントにも、そうした独立開業を考える若者たちが会場に足を運んでいた。 (小川裕夫=フリーランスライター)