タケヤキ翔が作り上げた“忘れられない景色” チャンネル開設10周年記念ライブレポート
2024年2月11日、東京・新宿BLAZEで、タケヤキ翔/ラトゥラトゥが『ラトゥラトゥ4th LIVE ログイン TOKYO-タケヤキ翔 10th ANNIVERSARY-』を開催した。 【写真】初めて作曲した「Hello Hello」などを歌い上げるタケヤキ翔「最高に気持ちいいです!」 ラトゥラトゥは、チャンネル登録者数240万人を誇る人気YouTubeクリエイター・タケヤキ翔による音楽プロジェクト。(2024年2月14日時点)YouTubeチャンネル開設10周年を記念して開催した本公演では、サポートメンバーによるバンド演奏と共に、生ライブならではの一体感を作り上げ、観客の心に忘れられない景色を刻み付けた。 熱気溢れる会場は満員。フロアでは、老若男女さまざまな観客たちが開演を待ちわびていた。定刻を少し過ぎたころ、暗転。フロアには紫色のペンライトの明かりがいくつも灯るなか、SEに合わせて弾むような手拍子が沸き起こると、まずはサポートメンバーの大西省吾(Gt)、久遠あきと(Ba)、Nao(Dr/アリス九號.)が登場。歓声が飛び交う中、ついにタケヤキ翔がステージに姿を現すと、観客のテンションは早くもMAX状態に。黄色い声から野太い声まで、飛び交う声援の多様さに、タケヤキ翔のファン層の広さが感じられる。 この日のスタートは、ラトゥラトゥの1stシングル「神様の言うとおりに」。MVの再生回数370万回を超えるキラーチューンを開始早々に投下するという、かなり前のめりなセットリストだ。ステージでは、バンドメンバーのダイナミックかつ安定感のある演奏に合わせて、タケヤキ翔が艶やかな歌声を披露。ラトゥラトゥの持ち味である和×デジロックを真正面から浴びた観客は、コール&レスポンスも全力で返し、初っ端からすさまじい盛り上がりを見せる。そんな観客へ、曲中にタケヤキ翔が「ちょっと一つ、言っていい? ……大好き」とダイレクトに愛を伝え、沸かせる場面も。 あふれる高揚感をそのままに、間髪入れず「絶命ロック」へ突入。深みのある低音から聴く者を圧倒するハイトーンまで自由に声を操り、パワフルなサウンドに合わせて歌いこなす。「もういっちょいこうか!」というノリの良い煽りから始まった「果報は寝て待たない」は、常に走り続けるタケヤキ翔の生きざまをシニカルに表した歌詞を、ダンサブルなリズムに乗せたパーティーソング。バンドメンバーと共に生み出すグルーヴに、ライブのボルテージはどんどんと上がっていく。 最初の挨拶でMCに入ると、「翔くん!」「タケヤキ!」と声援が飛び交い、なかなか止まない。「愛してるぞ!」と野太い声で愛の告白が放たれると、「俺も愛してるぞ! もっと言ってくれ!」と受け止め、笑いが起こる。ロックの要素を強めながらも切れ味鋭いラップで魅せる「パラダイスロスト」、ダークな印象がレアな「シャドウバンX」をしっかり聴かせた後は、「閲覧注意」へ。打ち込み音が引き立つサウンドに、伸びやかな歌声を重ねていく。魂を込めて歌い上げるタケヤキ翔の熱量に、観客はステージにくぎ付けになっていた。 「久々のバンドを引き連れてのライブなのでめちゃくちゃ楽しみにしてました。みんなに会えるのも楽しみにしてたよ! 最高に気持ちいいです!」と笑顔で伝えたあとは、「クリスマスガール」を初披露。ラトゥラトゥの音楽は激しめのロックが軸だが、10周年を記念して開催している全国ショッピングモールツアーを回るなかで、子どもから大人まで落ち着いて楽しめるバラードソングを欲しいという気持ちが芽生え、制作に至ったという。 「いまからの5分間、この会場はクリスマスでいいんじゃないかな?」と前置きして曲へ。ミラーボールの細かな光が降り注ぐなか、繊細なピアノとアコースティックギターの音色と甘い歌声が響き渡る。彼らの作り上げる神聖な雰囲気は、季節外れのクリスマスを完璧に彩っていた。 続く「Hello Hello」は、タケヤキ翔が初めて作曲したという思い出の歌。「どうやったら感動するメロディーを作れるのか。どうやって歌詞を乗せればいいのか。試行錯誤して、長い時間を使って作ったけど、そこで0から1を作ることの大切さを学ばせてもらいました」と当時を思い出しながら語り、心を込めて歌い始める。自身の原点とも言える音楽を、10周年まで支えてくれたファンに直接届けるというエモーショナルな光景に、会場には大きな感動が溢れていた。 ここで突如鳴り響く雷鳴。一気に不穏な空気が満ち溢れるなか、深い青色の光がステージを怪しく照らし出すと、衣装を変えたタケヤキ翔が登場し、「百火繚乱船」を披露。激しく光る稲妻をバックに、迫力満点のサウンドと凛々しい歌声でエネルギッシュなパフォーマンスを届け、火力の高いライブ後半戦の開幕を堂々と宣言する。 強烈なアッパーチューンの「Yellow Voice」が投下されると、熱量の高まった観客が一斉に飛び跳ね、激しく会場を揺らす。タオルを回す人や、ペンライトを降る人、拳を突き上げる人など、思い思いのやり方で自己を開放していく。生ライブならではの高揚感と一体感で、上昇し続けるボルテージは留まることを知らない。 「このままラストスパートいこうか!」とタケヤキ翔が煽ると、「うぉー!」と力強いレスポンスを観客が返し、フィナーレへと駆け上がっていく。疾走感溢れる「窓を染める黒い空」でさらに勢いをつけると、フロア全員によるハンドクラップから始まった「アシメゴースト」で、この日一番の熱狂を生み出した。全身全霊のパフォーマンスで、全てを出し尽くしたタケヤキ翔は、最後に「ありがとう!」と叫び、止まない大歓声の中、ステージを後にした。 YouTubeクリエイターとして長年トップを走りながら、音楽に対しても本気で取り組み続けるタケヤキ翔。ファンと共に最高の熱量で作り上げた今回のライブは、音楽アーティスト・タケヤキ翔/ラトゥラトゥの未来へ繋がる大きな一歩だったに違いない。
南 明歩