「天草の孤立」想定、24年度中に大規模防災訓練 熊本県、能登地震受け初実施
熊本県は1日、大規模な地震で天草地域全体が孤立する事態を想定した初めての大規模防災訓練を2024年度中に実施する計画を明らかにした。1月に発生した能登半島地震で道路など交通網の寸断が救助や支援の妨げとなったことを受け、橋でつながった半島地域で災害が発生した場合の対応を確認する。 県は、天草地域が地形や限られた道路交通網など能登半島と環境が近いと判断。本年度の総合防災訓練のテーマにした。日奈久断層を震源とする地震により津波が発生し、橋が落下するなどして通行できないケースを想定する。10月から12月にかけて2回実施する計画で、天草市などの関係自治体と調整している。 訓練は、住民の避難や孤立集落への救助、支援物資の運搬方法などの確認を予定している。天草地域に限らず沿岸部の市町にも参加を募る方向で、自治体や民間企業も含め、約70機関、5千人規模を想定している。 県は21年度、八代市や上天草市などと合同で、八代海中部を震源とする大規模地震を想定した訓練を実施した。この際に陸路が寸断された場合の対応も検討。天草地域に大型船が寄港できる港がなく、支援物資の海上輸送が難しいなどの課題を把握した。今回はその課題も踏まえ、天草地域の孤立化を主眼とした訓練とする。
県危機管理防災課は「具体的な訓練内容はこれから詰めるが、災害はいつ発生するか分からない。想定外を少しでも減らすため、訓練を充実させたい」としている。(嶋田昇平)