よく遅刻するのに、ときどき残業している人がいます。こういう場合にも「残業代」や「割増賃金」が出るのでしょうか?
時間厳守は、社会人としての基本マナーです。しかし、社会人になっても遅刻癖が抜けない人もいます。職場によく遅刻する人がいて残業もしている場合、残業代の扱いは気になってしまうかもしれません。 そこで本記事では、法定労働時間と割増賃金の基本ルールをおさらいしつつ、遅刻した場合にはどこからが残業扱いになるのかについて解説します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
割増賃金の対象になるのは8時間を超える部分から
労働基準法では、労働時間の上限を、一部例外を除いて「1日8時間、1週40時間」までと定めており、これを「法定労働時間」といいます。そして、時間外労働をした場合には、割増賃金を支払う必要があります。 時間外労働に対する割増賃金の割増率は、通常の賃金の25%以上です。時間外労働の割増賃金の支払いが必要になるのは、実労働時間(8時間)を超える労働です。 したがって、遅刻してきた場合、割増賃金が支払われるのは、その日の業務開始以降で8時間を超えた部分に対してのみとなります。仮に遅刻によって業務開始が30時間遅れた場合、30分残業したとしても割増賃金は支払われません。
遅刻が続く場合には懲戒処分が検討される恐れも
頻繁な遅刻は、懲戒処分の対象になる恐れがあります。就業規則において、懲戒処分の規定が明記され、従業員に周知されているときには、会社は「懲戒事由」に相当する行為に対する懲戒処分を検討できます。 就業規則の内容は会社によって異なりますが、遅刻に対するペナルティーが明記されているときには、まずは最も軽い処分である「戒告」によって主に口頭で注意されることになるでしょう。 それでも改善がみられないときには、「けん責」となり、始末書の提出による反省を求められることになります。「戒告」や「けん責」の次に重い処分は、「減給」です。 ただし、遅刻によって働かなかった時間分の賃金を差し引く行為は、「欠勤控除」に該当します。会社として支払う義務のない賃金を給与から差し引くというもので、制裁として行う「減給」とは異なります。