60以上が”乱戦” 英語資格試験が花盛り
■英語資格が乱戦する背景とは このように、英語検定試験の主催者側が身を乗り出してくる背景には、文部科学省が昨年12月に発表した「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」がある。この計画では、2020年の東京オリンピックに向け、小中高校の英語教育を大幅に強化することをうたっている。小学校に英語の専任教員を置いたり、中学の英語授業は英語で行なったりする、などとしている。教わる子供たちはもちろんだが、教える教員の側も大きな負担を背負いこむ。全国の英語教員のレベルアップが必要なのは明らかだ。 ■英語教員の70%以上が英検準1級未満 しかし、公立中学校の英語教員の英語力は怪しい。文科省が2012年に調べたところ、英検準1級以上又は TOEFL の PBT 550 点以上、CBT 213 点以上、 iBT 80 点以上又は TOEIC 730 点以上を取得している者は、全体のわずか27.7%だったという。これでは、教える側が「教わるレベル」と言われても仕方がない。こうした教員たちも、これから必死に英語力のアップに取り組むはずで、その意味でも各種の英語試験受験者が増えることになりそうだ。 国内で受けられる試験には、他にも海外移住申請などに使われるIELTS(アイエルツ)、英国の名門ケンブリッジ大が設立したケンブリッジ英検、などなど多数ある。特性やメリットはそれぞれによって異なってくる。 英語そのものは、あくまでツールに過ぎない。英語試験に限らず、日本人は「資格」を取得することを好む傾向がある。ただ、資格を取得しただけで、現実生活の中でそのスキルを生かせなければ全く意味はない。資格取得そのものを目的とせず、その資格を取得することで何をしたいのか?を明確にした上で、自分に合った試験を見極めることが大切になりそうだ。 (文責・坂本宗之祐)