【水やトイレのサポートまで…】首相側近・赤澤亮正大臣の「忖度トリセツ」が作成された「裏事情」
石破首相の「側近中の側近」
現在、永田町・霞が関で「赤澤大臣室からのリクエスト」なる“取扱説明書(トリセツ)”が話題となっている。 【写真】まるで介護…? 赤澤大臣のリクエストがまとめられた「トリセツ」を独占入手! 赤澤大臣とは、赤澤亮正経済再生担当相(64)のこと。選挙区は鳥取2区で、石破茂総理(67)の隣。首相の「側近中の側近」「精神安定剤」といわれている。 赤澤氏は9月の総裁選でも事務総長として石破氏を支え、石破選対の中核を担っていた。首相官邸と道路を隔てた内閣府内に大臣室を持っているが、官邸の首相執務室と同じフロアーの5階にも部屋がある。 「東大卒、国交省のキャリアで、’05年の『郵政解散』で初当選した、いわゆる小泉チルドレンの一人です。石破氏に近かったため、長らく非主流派で副大臣止まりでしたが、石破内閣で初入閣を果たすと『石破政権は俺が支える』『まずは俺を通せ』と言ってはばからなくなった」(全国紙政治部記者) 石破氏は長らく非主流派だったため、周囲に「右腕」「側近」といえる人材が乏しい。岩屋毅外相(67)、中谷元防衛相(67)、小野寺五典政調会長(64)、村上誠一郎総務相(72)が石破氏を支える主なメンバーで、赤澤氏はその筆頭格といえよう。 件(くだん)の赤澤氏の“トリセツ”にはこう記されている。 〈(大臣へのお水入れ) 〇特に参・予算委では交換が頻繁になるが、お水入れをお願いしたい。 (トイレ等での委員会の途中退席後の、大臣の再着席のサポート) 〇審議中にトイレに行かれている間に、トイレ近くで待機し、大臣の再着席をサポートいただきたい。できれば座席近くまでがありがたいが、全大臣出席等で座席近くまでの案内が困難でも、少なくとも委員会室の入口まではお願いしたい。〉 「トリセツ」といえば、’19年に、当時外相だった茂木敏充前幹事長(69)への対応についてまとめられた「トリセツ」が出回った際はちょっとした騒ぎになった。 ◆「夕食の買い出し」までマニュアル化 「タバコが吸える場所を確保しないと不機嫌になることや、暑がりで車内温度は25~27℃に設定すること。常備すべき栄養ドリンクの銘柄などが明記されていました。嫌いな食べ物に至っては、〈煮物全般、酢の物、ゴマ豆腐、キャビア、サーモンサンドイッチ、硬いパン(ベーグル、フランスパン等)、餡かけのもの全般、フカヒレ、冷やし中華、長崎ちゃんぽん、スイカ、メロン(夕張メロンは除く)、和菓子全般、洋菓子全般〉と詳細に記されており、細かすぎる注文が話題となりました」(別の政治部記者) ’22年には当時の西村康稔経産相(62)の「トリセツ」も出回った。 〈大臣は、夕食を購入するために駅構内を散策。弁当購入部隊とサラダ購入部隊の二手に分かれて対応。このため、新幹線出発の20~30分前には駅に着いていることが必要〉 その内容からは、経産官僚たちの涙ぐましい「忖度」が伝わってきている。 今回、永田町を騒がせている赤澤氏のトリセツは、前述の2人と比べればマシな部類に思える。だが、〈(大臣の冒頭着席時のサポートは)できるだけ、大臣の座席付近まで案内いただきたい〉という内容や「水の準備」「トイレや座席への案内」といった記述といい、「もはや介護マニュアルでは?」と思うほどだ。 ◆「急な出世」の弊害 この不可解なトリセツが作成された背景について、「2つの理由がある」と語るのは、赤澤氏の知人だ。 「初入閣で、参議院の議会運営上の細かい作法に戸惑っているんですよ。例えば水の件ですが、衆議院は議場に水や白湯を入れたエコボトルを持ち込んでいいのですが、参議院はエコボトルの持ち込みができない。参院予算委員会で朝9時から夕方5時まで着席する中、こまめな給水ができなかったため、この要望が出されることになった。 トイレもそう。衆議院と参議院は同じような建物ですが、トイレの位置が異なり、動線も異なる。答弁の出番が巡ってくるため速やかにトイレを済まさないとならないが、移動に不安があったのでしょう。赤澤さんは副大臣も経験していますが、副大臣が担うのはあくまで“スポット的な答弁”。初めて大臣となり、参院のしきたりに戸惑うことが多々あったのでしょう」 衆参で多少の違いがあることは理解ができる。だが、そうであればサポート役の大臣秘書官がフォローすればいいのではないか。 「経済再生担当大臣は内閣府に置かれる担当大臣で、主務大臣ではない。サポートに当たるのは財務省や厚労省などの出向組で編成された寄せ集めの組織です。そのため、主務大臣と比べて忠誠度が低くなる傾向があるようです。その秘書官たちが国会連絡室の事務方とうまくいっていないため、国会運営の細やかな情報が伝わらないのだと聞いています」(前出の知人) 非主流派がいきなり主流派にのし上がったことによる「悲劇」というべきか――。 内閣府政策評価広報課に「用紙の存在を認識しているか」「赤澤大臣が文書のような要請をしているのは事実か」と質(ただ)すと、以下のような回答があった。 「お尋ねの資料は、円滑な国会対応に向けて、大臣及び大臣秘書官をサポートするため、大臣官房総務課内部での事務的な連絡用に作成したものであり、赤澤大臣の秘書官が書かれたものではありません。また、赤澤大臣自身が要望・リクエストした事実はありません」 赤澤事務所へも確認すると、「(用紙の存在については)記者の方からの指摘を受け認識しました。(用紙に書かれたような)要望をした事実はございません」とリクエストについては完全否定した。 赤澤氏にも言い分はあるのだろう。だが、こうした文書が流出することにより、大臣としての器量が知れてしまうのは事実だ。
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