事件の概要を説明する高橋政策監（中央）。右は瓦吹所長、左は小松課長

　福島県発注土木工事の入札情報を漏らしたとして、県福島空港事務所の福田等建設課主査（５０）と志田欣也建設課長（５５）が８日に官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の罪で起訴された官製談合事件で、両職員は設計金額や入札参加事業者名などを空港事務所内で石川町の土木会社「志賀建設」の緑川家司社員（７０）に伝えていたとみられる。県土木部幹部が８日夜に県庁で記者会見し、両職員から聞き取った情報として明らかにした。 　県によると、両職員は２日、「入札情報を業者に漏らし、警察から事情を聴かれた」と上司の瓦吹肇福島空港事務所長に報告したという。福田被告は「入札対象の工事が予定の工期内に終わるか心配で、空港の勝手を知る業者に落札してもらうのが良いと考えた。業者の申し出に対し、つい設計金額を漏らしてしまった」と話し、空港事務所の事務室内で設計金額を記載した付箋を緑川被告に渡したという。志田課長は事務室内で入札参加業者の名簿を緑川被告に見せたという。両職員ともに「入札情報を教えた見返りはもらっていない」と収賄を否定しているという。

　福田被告は１９９６（平成８）年４月に土木職に採用された。２０１８年４月から同事務所に勤務している。志田課長は１９８９年４月に土木職として入庁。２０２１（令和３）年４月から同事務所建設課長。両者とも勤務態度は真面目だったという。両職員が入札情報を漏らしていたとされる２０２１年８～９月ごろの時期はコロナ禍により、空港事務所は２班体制の勤務だった。２人は別々の班で仕事をしており顔を合わせておらず、互いに入札情報を業者に教えていたことは「知らなかった」と話しているという。 　記者会見には県土木部の高橋和司政策監、瓦吹県福島空港事務所長、小松利顕土木総務課長が出席。高橋政策監は「県民の信頼を著しく損なうものであり、心から深くおわび申し上げる」と陳謝した。県職員による汚職事件は昨年も発覚しており「信頼回復に向けて全庁を挙げて再発防止に取り組んできている中、このような事案が判明し極めて遺憾だ」とした。

　志賀建設は福島空港の維持管理業務を担う「いしかわ施設敷地管理事業協同組合」に所属しており、空港関連工事に詳しかったとみられる。高橋政策監は「付き合いが長く、なれ合いがあった可能性がある」と指摘した。 　県は９日、土木部の出先機関のトップらを県庁に集めて緊急会議を開き、再発防止策と法令順守の徹底を周知させる。