竹久夢二 晩年の裸婦スケッチ初公開 東京の生誕140年記念展
大正ロマンを象徴する画家竹久夢二(1884~1934年、瀬戸内市出身)が晩年、欧米への外遊中に描いたスケッチが、東京都庭園美術館(東京都港区白金台)で開催中の生誕140年記念展で初公開されている。死に際して友人に託された後、行方が分からなくなっていたが、最近になって存在が判明。美を追い求め続けた生涯を裏付ける、貴重な資料として注目されている。 夢二が31年から33年にかけて米国やドイツ、フランス、スイスなどを巡った際のもので、友人で夢二の最期をみとった医師、小説家の正木不如丘(ふじょきゅう、1887~1962年)に託された。正木の著書で、その存在は知られていたものの、最近まで所在は不明だった。2年前、東京都内で開かれた古書入札会に3冊が出品され、夢二郷土美術館(岡山市中区浜)が購入。研究を進め、額装が可能な19点を公開した。 鉛筆や色鉛筆を使い、風景、動物、人物などさまざまなモチーフを、簡単な線で即興的に描いているが、人物の愁いを帯びた表情など夢二ならではの作風が表れている。夢二郷土美術館の小嶋ひろみ館長代理によると、注目は3点の裸婦画で、すらりと伸びた手足や肩から腰にかけての曲線は、同じく滞米中に描いた油彩の意欲作「西海岸の裸婦」と共通。「『西海岸の裸婦』を生んだ新たな画境への挑戦が見てとれる」と話している。 「生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界」東京展は8月25日まで。夢二が後の恋人お葉を描き、80年近く所在不明だった油彩画「アマリリス」も展示されている。岡山展は9月7日~12月8日、夢二郷土美術館を主会場に開かれる。