外国人材“日本離れ” 給与以外の魅力づくりが鍵
円安で外国人材の日本での就労意欲が低下──。民間企業の調査で、こんな実態が浮かび上がった。記録的な円安の影響で給与面の魅力が低下し、農業分野でも活躍するベトナム人を中心に“日本離れ”が起きているという。人材獲得へ職場環境の改善など、給与以外の魅力づくりが重要になっている。
「人間関係良い」が上昇
調査は外国人材の就労支援などを手がけるマイナビグローバルが実施。今年1、2月、日本に在留する外国人を対象にインターネットで行い、582人から回答を得た。 「現在の在留資格が切れた後も、日本で働きたい」人の割合は91%と高水準だったが、2022年の調査からは6ポイント下落。特にベトナム人材は12ポイント減と落ち込みが大きかった。 日本で働きたくない理由のトップは「円安」(39%)が最多。給料は一定でも、円安の影響で自国通貨に換算すると、収入が目減りするためとみられる。同社は「光熱費や通信費を支給するなど、給与以外で手取りを確保する工夫も必要」とする。 一方、就職先を選ぶポイントでは「社員の人間関係が良い」(44%)が、前回に比べ28ポイント上昇し、給料(70%、10ポイント増)の上昇率を大きく上回った。背景には、在留期限が長く、家族帯同が可能な特定技能2号が浸透し、「長く働き続けられる職場」の魅力が向上している実態がある。 外国人材を巡っては、27年に外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労」の始動が予定されるなど、農業分野でも大きな変化が想定される。同社の杠元樹代表は「今後、外国人と共生する職場づくりや、特定技能2号にステップアップするための雇用側の支援が、人材確保や流出防止につながる」と指摘する。
日本農業新聞