「トランプを次は逃がすな」発言のテネイシャスD、所属エージェントから契約解除に
米コミック・ロックデュオ「テネイシャスD」の所属エージェントが、ドナルド・トランプ前米大統領の暗殺未遂事件をやゆしたとみられるコンサート中の発言が問題となったのを受け、メンバーのカイル・ガスを契約解除するとローリングストーン誌に語った。 【写真を見る】1970年代を代表する「SF映画」ランキング50 テネイシャスDは、俳優のジャック・ブラックと俳優兼アーティストのカイル・ガスの2人組。問題になった発言は、7月14日に行われたオーストラリア・シドニーの公演で、ガスの誕生日の演出中に起きた。64歳の誕生日を祝しステージでバースデーケーキを送られ、願い事をするよう促されたガスは、前日13日に起きたトランプ前米大統領の銃撃事件について触れ、「トランプを次は逃がすな」と答えた。 この発言について、所属エージェントであるグリーン・タレントの代表マイケル・グリーン氏は「シドニーで起きた事件以降、私たちはカイル・ガスとの契約を解除する運びとなりました」とローリングストーン誌の取材に対してメールで語った。 契約解除の決断が下される前の16日には、ジャック・ブラックが「今後のツアーの日程を全て中止し、創作活動を停止する」と発表していた。 ガスの発言を収めた映像がネット上で拡散された後、オーストラリアの議員はテネイシャスDの国外追放を要求する声明を発表するなど、不適切な発言に批判が集まっている。 一方、メンバーのジャック・ブラックは、カイルの発言に「驚かされた」とし、「いかなる形であれヘイトスピーチを容認したり、政治的暴力を奨励したりすることはありません。熟考の末、テネイシャスDのツアーを続けるのは適切ではないと感じており、今後の創作活動も保留とします。ファンの皆さんのサポートと理解に感謝します」と声明で述べ、ガス本人もSNSで謝罪している。「日曜日の夜、シドニーの公演中に即興で言った発言は、非常に不適切で危険であり、ひどい間違いでした。今後、いかなる種類、形の、誰に対する暴力も容認しません。私の重大な判断力の欠如により起こったことは悲劇であり、深く反省しています。失望させた方々に深く謝罪し、ご迷惑をおかけしたことを心から反省しています」と述べた。 テネイシャスDは今月、オーストラリアとニュージーランドでの公演を予定していた。また、非営利団体ロック・ザ・ボートと提携し、2024年の選挙に先立ち5公演を行うことを発表した直後の出来事であった。 Translated by Minori Tsuneta
JON BLISTEIN