石黒賢「刑事コロンボ」ピーター・フォークとの共演に興奮
女優・ミュージシャンの松下奈緒がパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「Grand Seiko presents My Time My Story」(毎週土曜12:00~12:25)。月替わりでゲストをお迎えして、“願いが叶ったときのこと”や“達成したときの喜び”、“心躍る瞬間”について伺っていくプログラムです。2023年12月のマンスリーゲストは、俳優の石黒賢さん。この記事では、俳優・ピーター・フォークさんとの共演について伺った12月9日(土)放送の模様を紹介します。
◆心に残るピーター・フォークさんの演技
松下:今月は、俳優の石黒賢さんをお迎えして“心躍る瞬間”についてお伺いしています。今週は、どんな“心躍る瞬間”でしょうか? 石黒:僕が心躍った瞬間は“俳優・ピーター・フォークさんとの共演”です。 松下:「刑事コロンボ」! 石黒:ご存じですか! 松下:はい! 石黒:良かったです。 松下:小学校の頃、夕方ぐらいに家に帰ると「刑事コロンボ」がテレビでやっていたので、すごく記憶に残っていますね。 ピーター・フォークさんは、日本でも放送されたアメリカの人気テレビドラマ「刑事コロンボ」シリーズで主役を演じられた俳優で、石黒さんは、1993年放送のスペシャルドラマ「人間の証明」(フジテレビ系)でご共演されています。ご共演することが分かった瞬間は、どういうお気持ちでしたか? 石黒:本当にうれしかったですね。「人間の証明」は森村誠一さん原作で、松田優作さんが(1977年に)映画で演じられた作品。ほかにも、岡田茉莉子さん、ジョー山中さん、ジョージ・ケネディさんも出演されていて……本当に、僕は“何回観たかな”というくらいの(何度も観た)映画でした。 僕に“優作さんが演じた役を……”というオファーをいただいたのですが、アメリカ人の刑事(役)が、ピーター・フォークさんだと。また、岡田茉莉子さんが映画で演じられた役を宮本信子さんということで、(オファーをもらった)瞬間に「やらせてください!」となりました(笑)。 松下:はい(笑)。 石黒:それに、僕の記憶をさかのぼると、俳優をやるようになったのは、ピーターさんの影響がかなりあるんじゃないかと思っているんです。 松下:そうなんですか! 石黒:子どもの頃、祖父母の家に泊まりに行くと、テレビで「刑事コロンボ」がやっていて、それを一緒に毎週のように観ていたんですよ。そんなピーターさんと共演するとなったら“祖母たちも喜んでくれるだろうな”と思いましてね。 松下:幼いながらに、何か気になる存在というか。 石黒:そう。 松下:共演されてみて“海外の俳優は日本の俳優と違うな”と感じられることはありましたか? 石黒:“違う”というか……彼は監督に「僕がオーダーするのは3つだけだ」と言ったんです。ピーターさんは右目が義眼なので「右側からの横顔は撮らないで。それから「今回、僕が演じる刑事は、やり手のニューヨークの刑事だよね。下からあおったショットはシャープに出ないから、止めてくれ」と。 松下:なるほど(笑)。 石黒:それで「あとは監督の言うようにやるよ」というのが、初日の挨拶。 松下:すごい! 格好良い! 石黒:格好良いでしょう! それで、いざ撮影が始まるんだけど、彼は日本の撮影システムが分からないから「リハーサルから(カメラを)回してくれ」と言うわけです。 娘との2人のシーンで、「今、こういう心情でやってみた。次はこういう心情でやってみる。最後にもう1回、こういう心情でやってみる」と、要は3つのパターンをやって見せたんですね。 奈緒ちゃんは分かると思うけれど、お芝居って、セリフのボリュームの大小とか(で演技を変えるの)ではなくて、コーヒーにクリームを落として混ぜて、それがなじんでいくかの如く、微妙に色合いを変えていくものですよね。 松下:そうですね。 石黒:それがピーターさんは……こんなことを言うのは本当に偉そうで申し訳ないんだけれど、見事に3つ(のパターンの演技)が微妙に違うんですよ。 松下:見えないけれど“見えるグラデーション”みたいな。 石黒:そうなの。“娘への(感情の)機微”というか“心象”というか。 松下:海外の役者さんって、演じるときのふとした一瞬の仕草とか、大きなことはしていないのに、何か妙に色っぽかったり……(ピーターさんのように)刑事役だけれども、何かその人のすべてを感じられるような瞬間があったりしますよね。不思議ですよね。 石黒:どうしたら、ああなれるんだろうね。 松下:そうですね。マネをしてもなれないものだとは思うんですけれども。 (TOKYO FM「Grand Seiko presents My Time My Story」2023年12月9日(土)放送より)