約105万円の価格も魅力的、ヤマハYZF-R7は「ライテク磨きに最適なミドルスーパースポーツだ!」
MT-07をベースにした700ccスーパースポーツ
現在のヤマハは、スーパースポーツ「YZF-R」シリーズを7機種ラインアップしている。もちろん、どのモデルに興味を抱くかは乗り手の経験や技量で異なるだろう。 ただ、サーキットとストリートの両方を過不足なく楽しみたいなら、ヤマハがCP2=クロスプレーン2気筒と呼ぶエンジンの第4弾モデルとして生まれた、YZF-R7を視野に入れてほしい。 【画像10点】約105万円の価格も魅力的!ヤマハYZF-R7の特徴・装備を写真で解説 初っ端から私的な話で恐縮だが、今から十数年前に「人生で一度は真剣にサーキットを走ってみよう」と思い立った僕は、トライアンフのデイトナ675を購入した。 当時の目標は筑波サーキットで1分5秒台をマークすることだったものの、残念ながら僕の技量ではミドルスーパースポーツの潜在能力を引き出すことはできず、地道な練習を重ねても、ベストは1分7秒フラット。ところが、紆余曲折を経て車両をヤマハの1986年型TZR250に変更すると、数年後には目標が達成できたのである。 そんな経験を通して僕は、あり余るパワーと高荷重域重視の現代的なシャシーが、乗り手によってはマイナス要素になることをしみじみ実感。そしてCP2=クロスプレーン2気筒シリーズの第4弾として、2022年に発売されたYZF-R7を体験したとき「もし十数年前に存在したら、このモデルは自分にとっての最適解だったんじゃないか……」と感じたのだ。 僕がYZF-R7に惹かれた主な理由は、73馬力のパワーと柔軟なシャシーが自分の身の丈に合っている気がしたことと、ライダーにとってノイズになる慣性トルクを低減する一方で、燃焼トルクが瑞々しく感じられる270度位相クランクのおかげで、とにかくアクセルが開けやすく、高回転域を臆せずに使えること。 誤解を恐れずに表現するなら、YZF-R7の性能は手の内に入っている感があって、コレなら自信を持ってサーキットを攻められる!!と思ったのである。
買ったままの状態でも、サーキットを攻められるパッケージ
もちろん、自信を持ってという見方なら他社のミドルツイン、あるいは125~400ccスポーツも選択肢になるだろう。とはいえ、そういった車両でサーキットを本気で走ると、前後ショックやフロントブレーキパッド/マスター、ライディングポジション関連パーツなど、変更したくなる要素は意外に多岐に及ぶ。 でもYZF-R7なら、ツルシのままでもかなりの領域まで、突っ込んだ走りが堪能できる。つまりYZF-R7は、戦う準備が整っているのだ。 ちなみに、世間でYZF-R7のライバルと言われているのがアプリリアのRS660で、エンジンは270度クランク位相の659cc並列2気筒。モトアメリカで開催されるツインズカップでは、YZF-R7とRS660の2台が熾烈な戦いを繰り広げている(2022/2023年はYZF-R7がシリーズチャンピオンを獲得)。 ただし、価格が150万2000円~で、パワーが100psで、多種多様な電子デバイスを採用しているRS660は、少なくとも僕の視点ではYZF-R7の競合車ではない。 と言っても、RS660も相当に魅力的なバイクのだ。でも価格と性能は自分の身の丈をオーバーしているし、パワーが少なくて、車体が柔軟で、電子制御はABSのみというYZF-R7のほうが、ライディングスキルの向上は実感しやすいのではないだろうか。 このあたりの見解は各人各様だが、フレンドリーさという見方なら、誰だってYZF-R7に軍配を上げるはずだ。