ペンギンに給餌（きゅうじ）する稲垣さん

子どもの頃、水族館でイルカショーを見て、飼育員に憧れた人はたくさんいるでしょう。しかし、実際のところは、就職は狭き門で、仕事は体力勝負という厳しい世界です。現在、マクセル アクアパーク品川で動物たちの飼育展示（動物を飼育し、一般の人々に公開すること）に取り組み、ドルフィンパフォーマンスにも出演している稲垣ひとみさんは、どのようにして幼い頃からの夢をかなえたのでしょうか。 【写真】イルカと共演する稲垣さん

「水族館で働くのがずっと夢でした」と話すのは、マクセル アクアパーク品川で飼育スタッフとして働く稲垣ひとみさんです。三重大学生物資源学部生物圏生命科学科を卒業後、横浜・八景島シーパラダイスでの業務を経て、現在、マクセル アクアパーク品川でパフォーマンス展示チームに所属。海獣（海で生活する哺乳類）の飼育を担当しています。 幼稚園の頃、家族と訪れた水族館でイルカの素晴らしさに魅了され、その時から、イルカに関わる仕事に就くことを夢見るようになりました。「本当にイルカが大好きで、出かける時も寝る時もイルカのぬいぐるみを持っていたらしいです（笑）」 自分で決めたら一直線という性格の持ち主で、「絶対にイルカと関わる仕事に就く」という夢をずっと持ち続けました。高校2年の夏、水族館で働くか、イルカの研究者になるためにはどうしたらいいのかを真剣に考えた稲垣さんは、全国の複数の水族館に手紙を書いたり、直接スタッフの方に聞きに行ったりして情報収集に奔走しました。そして、「イルカの研究ができる大学は数少ないが」と教えてもらった候補の中に三重大学がありました。国立大学で実家から通えるのが一番良いと考え、そして何より鯨類の研究ができることが決め手となり、志望校を三重大学に決め、受験の準備を始めました。 高3の春までは、ハンドボール部のキャプテンとして部活に熱中する一方で、毎日コツコツと予習復習をし、勉強と部活を両立させました。部活引退後は、得意だった生物と数学を武器に受験勉強のスイッチを入れます。高3の夏から塾に通い、12月に推薦入試（現在の学校推薦型選抜）で三重大学生物資源学部に無事、合格しました。