今永昇太が昨季MVPのスターをけん制アウト&満塁で右飛「運がよかった」「満塁本塁打打たれるぐらいだったら…」
◆米大リーグ ブレーブス2―0カブス(13日・米ジョージア州アトランタ=トゥルイストパーク) カブス・今永昇太投手(30)が13日(日本時間14日)、敵地・ブレーブス戦に先発して5回98球を投げ、7安打無失点で、防御率はMLB全体でトップで唯一の0点台となる0・96となった。開幕8試合の防御率0点台は21年のデグロムがメッツで記録した0・71に次ぎ、球団では1918年のフィル・ダグラスの0・95以来。勝敗はつかなかった。カブスは打線がわずか5安打無得点と援護なく、救援投手が失点して、0―2で敗れ、今季3度目の0封負け。今永の先発試合8試合目で初めてチームが黒星を喫した。 5勝無敗の新人左腕が、昨年のナ・リーグMVPと渡り合った。初回。先頭のアクーニャに四球を許すが、一塁へのけん制球で意表をついた今永。判定はセーフも、チャレンジで覆る。アウトを自覚していたアクーニャが、審判の協議を待つまでもなく、一塁ベンチに引き上げるほど、完璧なタイミングだった。 「去年、あれだけの盗塁をされてる選手なんで、隙はついてくると思っていました。運が良かったと思います」。昨年73盗塁の盗塁王から、渡米後初のけん制アウト。5回もアルビーズを一塁でけん制アウト。自己最多タイの7安打を浴びて何度もピンチを背負ったが、要所で締めて8奪三振。高度なけん制技術やフィールディングでも、ダメージを最少限に食い止め、ホームを許さなかった。 4回2死満塁。アクーニャとの3打席目には、野球の醍醐味が詰まっていた。ボールカウント2ボール、1ストライクからの4球目のハーフスイングに一塁塁審はセーフの判定。三塁側ベンチから飛び出したカウンセル監督はフィールドを斜めに横断。バレンタイン一塁塁審に猛抗議し、カブス監督就任後初の退場処分を受けた。感情をむき出しにした指揮官の思いに応えるかのように、今永は次の5球目、直球でアクーニャを右飛に打ち取った。 「冷静に考えて、満塁ホームランを打たれるぐらいだったら、押し出しのフォアボールでいいやって思って。押し出しても(0―1だから)勝つチャンスがあると思った」と判断した上に直球を選択。「あれはもう運でしかない。なぜなら、あれは(彼の)得意なゾーンですし、フルスイングしたわけなんで。僕も、相手が直球と分かっている中で、真っすぐを投げている。これが野球の面白さとも言えますけど」と前年度MVPとの真っ向勝負を振り返った。 8試合目の登板。今永の登板試合で初めてチームは敗れたが、今永には勝敗がつかず、「不敗神話」は続く。相手が入手するデータが増え、研究も進む中での戦いが続く。 「4打席あったら、ただじゃ転ばない打席が2、3打席ある。それがメジャー選手の対応力ですし、これから、今日以上に苦しい投球が続くと思いますけども、そういった中でどうするか。その対策は今後絶対に必要だと思います」と先を見据えた。
報知新聞社