米東・支える人々 第4部/3 米子東吹奏楽部 「県金賞」の実力 9曲を用意 /鳥取
<第91回選抜高校野球 センバツ> ◇一音一音に支える思い 放課後の米子東校舎。あちこちからフルートやホルン、トランペットなどさまざまな楽器の音色が聞こえてくる。アルプススタンドを彩る吹奏楽部の練習だ。部員は3年に上がる前、学業に専念するために引退するのが慣例になっていて、今の2年はセンバツ応援が“最後の活動”になる。部長を務める西田咲菜さん(2年)は「最初で最後の甲子園。一音一音に思いを込めて野球部を支えたい」と意気込む。 部員は35人。2年前には全日本吹奏楽コンクール県大会高校の部で金賞を獲得して中国大会にも出場するなど実力も折り紙付きだ。甲子園では、東京六大学を参考にしたマーチなど9曲のレパートリーを用意する。応援団とも連携し、勇壮なリズムで盛り上げる。 グラウンドのナインの元にも熱い応援は確実に届いている。「実力以上の力を発揮できている気がする」と本多翔選手(2年)。重圧のかかる昨秋の中国地区大会準決勝の呉(広島)戦では肩の力が抜けて適時打を放つことができた。紙本庸由(のぶゆき)監督も「うちが7点取ったとしたら、そのうち3点は吹奏楽部のおかげ」と絶賛する。 実は定期演奏会を13日に予定している。吹奏楽部員らはセンバツ応援の練習も重なり、忙しい日々を送っている。それでも山崎真由子さん(1年)は「全然苦じゃないです」と言い切る。クラスメートの土岐尚史、山内陽太郎両選手は教室の雰囲気を明るくするムードメーカーでもある。毎試合後2人からスマホに届くメッセージ「また勝利するから応援よろしく」は単純にうれしくて「自然と応援したくなります」とか。定期演奏会にも野球部一同駆けつけてくれる予定だ。 フルート奏者として県内外でも活動している顧問の稲田真司さん(56)は「明るく元気に、他県からも応援されるような演奏を全員で届けたい」と意欲をにじませる。力強い演奏でグラウンドの選手たちを文字通り、鼓舞し続けてくれるはずだ。=つづく