オラクルをはじめメガクラウドベンダーが相次いで日本に巨額投資する背景とは
「AIを活用した未来の働き方はここにある」 (ZVC JAPAN 代表取締役会長 兼 社長の下垣典弘氏) 米Zoom Video Communication(以下、ZVC)の日本法人ZVC JAPANは先頃、プライベートイベント「Zoom Experience Day Spring」を東京・渋谷で開催した。下垣氏の冒頭の発言はそのキーノートで、このほど同社が提供開始したAI搭載のコラボレーションプラットフォーム「Zoom Workplace」のインパクトについてアピールしたものである。 下垣氏はキーノートでまず、「Zoomはほとんどの皆さまにご利用いただいている。お礼申し上げたい」と来場者に謝辞を述べた。ZVCが提供するウェブ会議ツール「Zoom」は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な感染病の拡大)によって、オフィスに出向かず、在宅勤務などのリモートワークが一気に広がったことで普及拡大した。ここにきてパンデミックも落ち着いてきてオフィスへの出勤の動きも戻りつつあるものの、同氏によると「オフィスワークに回帰しているのではない。リモートワークも定着し、新しい働き方が広がっている」とのこと。「Zoomはほとんどの皆さまにご利用いただいている」との発言は、そんな背景があっての「Zoomブランド」への確固たる自信を示して見せたものといえよう。 そのZoomブランドの新たなツールとしてZVCが満を持して投入したのが、Zoom Workplaceだ。 下垣氏はこの新たなツールについて、「AIを活用した未来の働き方はここにある」と述べた上で、「未来の働き方に向けてAIを最大限に活用し、コミュニケーションの多様化や活気のある組織およびチーム作り、オフィスを使うことの意義や価値の明確化、組織や個人の生産性向上を図っていくことが求められる」と説明した。 Zoom Workplaceの機能や特徴については、ZVC JAPAN 技術営業部 執行役員の八木沼剛一郎氏が紹介した。それによると、同ツールの大きな特徴として「コミュニケーションの合理化」「従業員エンゲージメントの向上」「生産性の向上」「人と会う時間を最適化する」といった4つを挙げた。そして、同ツールで行える全ての作業に対して、ZVCが2023年9月に自社開発の生成AIとして発表した「Zoom AI Companion」を適用できることを強調した。 下垣氏はZoom Workplaceについて、「チームワークを再構築するものだ」ともアピールした。筆者の記憶では、同社はウェブ会議ツールのZoomについて「コミュニケーションプラットフォーム」と呼んでいた。それがZoom Workplaceでは「コラボレーションプラットフォーム」になった。「コミュニケーション」から「コラボレーション」への進化が、今回の同社の動きのミソだと感じた。 ただし、この分野は競合ひしめく激戦区だ。Zoomブランドがコラボレーション市場にどれだけ食い込めるか、注目していきたい。