数千度の熱で人間を松明にし装甲を焼き切るウクライナ新型ドローンの恐怖
空から降ってくる炎をからいかにして身を守るか、FPVドローンや爆撃機とも違うこの「ドラゴン・ドローン」は心理的にもっと怖いという
ロシアの軍事ブロガーはテレグラムで、「ドラゴン・ドローン」と呼ばれる新しいドローンについて嘆く。それは地上に向かって高温の火を噴く兵器で、身を守る方法がないのに上が何もしてくれない、というのだ。 【動画】ドローンが吐き出す炎で標的を焼き尽くすウクライナ最新兵器の破壊力 戦争に関する資料を翻訳する独立系プロジェクト「War Translated」のX(旧ツイッター)ユーザー、ドミトリは、テレグラムで100万人以上の購読者を持つロシアの軍事ブロガー、トゥー・メジャーズによる投稿の抜粋をシェアした。 「ヘルソン州で使用された『テルミット焼夷剤散布ドローン』に対するロシアの見解。いまのところ、対抗手段は何もない。唯一の方法は、コンクリートと耐火レンガで待避壕を作ることだ」 ウクライナ軍は、戦場においてこのドローンが実際に稼働する様子を映した動画をいくつか公開している。サイエンス・チャンネルによれば、テルミットはアルミニウム粉と金属酸化物の混合物で、火をつけると華氏4000度(摂氏約2205度)以上に達する。 これは、溶けた溶岩の2倍の高温だ。ウクライナ軍事センターは、テルミットは装甲車両を焼き切ることができると報告している。 <何をやっても焼石に水> 「(ウクライナ軍は、)テルミット焼夷剤を投下する新型ドローンも手に入れた。頭が痛い」とトゥー・メジャーズは述べた。ロシア軍は、炎を放つドローンの攻撃から身を守る方法を考え出そうと必死だという。 「最初は、ドローンが待避壕に飛び込まないようにネットを被せ、次に、ドローンの熱感知カメラに映らないようにマントや毛布を使った」とトゥー・メジャーズは言う。いまのところロシア兵は「できるだけ深く土を掘り、できるだけ多くの砂を用意するしかない」。 「理想的なのは、耐火レンガかコンクリートだ。火を消すための水と砂は常にあるべきだ」とトゥー・メジャーズは書いている。 「そしてご承知の通り、これらすべてを、ほとんど自分たちでやらなければならない。新しいテクノロジーの情報がトップの耳に届く前に、自分自身で身の安全を確保しなければならない」 XユーザーであるOSINT Technicalは8月最終週、1機のドローンがロシア軍の陣地に、燃焼する物質を浴びせ、木々を燃え上がらせる様子とされる映像を公開した。この映像がいつ、どこで撮影されたのか、誰が最初に公開したのかはわからない。 オープン・ソース・インテリジェンス(OSINT)のアナリストであるエミール・カステヘルミはXで、「いわゆるドラゴン・ドローン」は「ドローン兵器の新展開」だ、と述べた。 「これは、FPV(一人称視点)ドローンや爆撃機とは別物だ。心理学的な観点からは、こちらのほうがむしろ恐ろしい」とカステヘルミは言う。 「テルミットは、非常に高温で燃焼する物質だ。木だけでなく、装備品や車両、防御施設にダメージを与え、兵士に重度の火傷を負わせることもある。草木が燃えて少なくなれば、標的がドローンに丸見えになる」 カステヘルミは、この兵器が「ドローンの恐怖に、新たな展開をもたらした」と付け加えた。 「想像してみてほしい。突然、空から火が降り注ぎ、止められない。水で消すこともできない。仲間は悲鳴を上げ、炎に包まれ、まるで人間のたいまつだ」とカステヘルミは言う。 戦場におけるこのドローンの効果を評価するのはまだ時期尚早だが、「効果があると証明されれば」ロシアも何らかの形でこの技術革新を採用する可能性があるとカステヘルミは付け加えた。 (翻訳:ガリレオ)