核廃絶の思い継ぐ…二重被爆者の孫が講演
広島と長崎で被爆した「二重被爆者」として核兵器廃絶を訴え続けた山口 彊つとむ さん(2010年に93歳で死去)の孫、原田小鈴さん(49)の講演会が、広島市中区のエソール広島で開かれた。約90人が集まり、山口さんの被爆体験や原田さんの伝承者としての活動に耳を傾けた。 原田さんは、山口さんの体験や思いを受け継ぎ、2011年から語り部として活動。現在は長男の晋之介さん(17)も活動しており、4世代にわたって被爆体験を語り継いでいる。
講演に先立ち、山口さんら二重被爆者へのインタビューをもとに製作されたドキュメンタリー映画「二重被爆」が上映された。 山口さんは長崎の造船所に勤務していたが、1945年8月6日、出張先の広島市で被爆して大やけどを負い、長崎市に戻った9日に再び被爆。被爆当時の様子を詠んだ短歌を発表したり、2006年には米ニューヨークの国連本部で核廃絶を訴えたりし、語り部として活動した。 原田さんは講演で「被爆という負の遺産を引き継いだ家族として、祖父の体験を伝え続けないといけない。広島、長崎のみならず、全国に被爆者の声をつなげていきたい」と力を込めた。