【楽天好き】楽天イーグルス創設20周年企画:選手から裏方へ。データ部門と選手を繋ぐ「ピッチングコーディネーター」釜田佳直さん
とはいえ、伝え方に正解はない。どの選手にどう伝えるべきかを思案する日々でもあるという。「1人1人、性格も違えば受け取り方も違う。例えば、早川(隆久)と藤平(尚真)に対しても、同じように伝えることはなくて。負担や圧力を感じず、すっと入るように考えます」。
「だから、試合で打たれた後は、興奮もしているので言いません。声の掛け方も工夫して、とにかく自分本位にならないよう気をつけています」と、さり気ないサポートを心掛ける。そうした取り組みが実を結んで選手に結果が出ることで、やり甲斐を覚えるのだという。
高校を卒業して以来、ずっとプロ野球選手として働いてきた釜田さん。データ収集は元よりパソコン仕事も未経験からの再スタートだった。当初はレポートの作成1つ取っても悪戦苦闘したという。
「何もかも教えてもらって、実際にやってみないと何もできないことを痛感しました。でも、何度も頼るわけにいかないので、教わったことは全部ノートに書き込んで、身体に叩き込んでいきました」。
創意工夫が必要であるだけでなく、時間がかかることも少なくない。シーズン中も、投手1人1人のデータを集約していくので、ナイターで多くの投手が投げたり、試合が長引いたりすると、日付が変わっても球場に居残って仕事をすることも多々あるという。
また、一軍の投手陣と帯同してデータを収集するだけでなく、二軍の投手陣も見ているため、現場での目視や映像確認など、相当に多忙そうな様子が伺える。
体調にはくれぐれも気をつけてくださいと伝えると、「忙しいけれど、元気にやっています!」と釜田さんは爽やかな笑顔をみせてくれた。
取材・文:松山ようこ/写真:楽天野球団提供
松山 ようこ