42歳、東京の二子玉川に執着した「埼玉出身の女性」が、“年収800万、セレブ暮らし”の婚活条件を捨てて得た「理想の結婚相手」
積極性を取り戻し始めた
婚活パーティーでもうまく行かなかった美佳さんは、再び相談にやってきた。私は美佳さんに「一旦、条件を後に回して性格フィーリングを大切に考えませんか」と提案してみた。 私はこれまで幾度となく同じ提案を繰り返してきた。しかし条件に強い思い入れがある美佳さんは、聞き入れてはくれなかった。だがこの時ばかりは反応が変わり、ここにきて新鮮な響きとして受け取ってくれたのは、長年の婚活のやり方に疑問を抱き始めていたからであろう。 婚活で負けが続き、理想のお相手に辿り着けない苦しみは、世界の全ての男性にそっぽを向かれた感覚だと美佳さんも感じていたのではないだろうか。 私が勧めたのは、最初に条件が明示されないメタバース婚活だ。相手に顔を知られなくて済むというメリットゆえに、軽い気持ちで申し込みができる。 美佳さんもこれまで幾度も負け続けてきたリアルな経験から、高い期待は寄せてはいなかったというが、なんと初めての参加で35歳の男性とカップルが成立した。 趣味の話で意気投合したという美佳さんは、これまで慎重過ぎるほど慎重に婚活を進めてきたため、フィーリングでいともたやすくデートに至ると体感して驚いたという。実際にリアルデートの約束をする頃には、デートには何を着ていこうとか、どんな話をしたら良いのかとか私にも相談するようになっていた。 「前にデートした時のこともう思い出せない」 照れ笑いしながら、美佳さんは恋愛の勘を取り戻そうとしていた。成立した男性とはメタバース内でしか会っていないのに、声と会話だけで気が合うことを楽しめているのが意外だったそうだ。 その35歳の男性とはリアルデートには結びつかなかったものの、その後メタバース婚でマッチングした37歳の春翔さん(仮名)とは、メタバース空間内のデートスポットで楽しんだ後、リアルデートへと進んでいった。しかし何度か2人で食事に行った後に互いに多忙な時期が重なり、連絡が途絶えてしまった。 しかし、これまでミスマッチに苦しんだ美佳さんは、「条件マッチング」に後戻りはしなかった。会話をベースに「フィーリング」から始める婚活に手ごたえを覚え、これまで食事に誘ってくれていた古くからの知り合いに自ら連絡をとったという。 「前から声が好きだった人なんです」 かたくなに条件にこだわり続けた美佳さんとはとても思えない発言だった。