再審無罪の元看護助手 当時の捜査責任者は「供述が二転三転し鵜呑みせず捜査続けた」“取り調べの合間にジュース提供”は「考えられない」
再審で無罪が確定した元看護助手が、国と滋賀県に賠償を求めている裁判で、当時の捜査責任者で、取り調べを担当した警察官の上司が出廷し、「取調官には供述の任意性に留意するよう指示していた」と話しました。 滋賀県東近江市の湖東記念病院の元看護助手・西山美香さん(44)は、2003年、入院患者を殺害したとして懲役12年の刑で服役。その後、捜査段階の自白は警察官が不当に誘導した疑いが強いなどとして、再審(やり直し)の裁判で2020年に無罪が確定しました。違法な捜査で長期間拘束され、苦痛を受けたなどとして、国と滋賀県におよそ4300万円の損害賠償を求めています。
捜査責任者が出廷「供述の任意性には十分留意するように指示」
30日は、当時の捜査の実質的な責任者で、西山さんの取り調べを担当した警察官の上司が出廷し、証人尋問が行われました。 30日朝、大津地裁に姿を見せた西山さんは、「当時の捜査責任者なので真実を語ってほしいですが、なかなか難しいだろうとも思います」と話し、入庁しました。 捜査責任者だった警察官は午前、滋賀県側の代理人の質問に対して、「女性の被疑者ということもあり、供述の任意性には十分留意するように指示していました」と証言しました。
「供述が二転三転していたので鵜吞みせずに捜査続けた」
また、「西山さんは感情の起伏が激しかった。逮捕前の取り調べでは、床に寝そべって大騒ぎしたり、怒って取調室から出て行ったりしていた。ただ、取調官には『帰ろうとする人を引き留めても十分に話しは聞けないので引き留めなくていい』と指示もしていた」とし、あくまで西山さんのペースに合わせた取り調べを続けていたと主張しました。 そのうえで、ある日西山さんが「涙を流して震えながら『大変なことをした』と、殺害を自供した」と振り返り、「殺人の自供に関しては全く予想していなかったが、それまでに供述が二転三転していたので鵜呑みにせず捜査を続けた」などと話しました。 また、「取り調べの合間にジュースを提供された」という西山さん側の主張は「考えられない」と否定しました。 5月23日に行われた裁判でも、取り調べを担当した警察官本人の証人尋問が行われ、「自白を誘導された」とする西山さん側の主張について、同じように否定していました。