先輩からのエール/1 ホンダ熊本・熊丸武志コーチ(35) 攻めの姿勢、貫いて /福岡
<第91回選抜高校野球> 23日に開幕する第91回選抜高校野球大会に初出場する筑陽学園(太宰府市)は、多くの卒業生が指導者や選手として社会人野球で活躍する。大舞台でプレーするOBに、甲子園に挑戦する後輩たちへ向けたメッセージをもらった。【宗岡敬介】 ホンダ熊本に入った2006年、ルーキーながら4番打者に抜てきされた。09年にはチームを6年ぶりの都市対抗野球大会に導き、12、13年と16、17年は主将も任された。日本野球連盟九州地区連盟が選ぶ、18年度のベストナインの一人に選ばれている。 昨年、コーチに転身し、指導者としても社会人野球の第一線で活躍する。だが、筑陽学園では「不動のレギュラー」ではなかった。 ノックの練習でエラーし、グラブを外すよう言われたことさえある。悔しくて、練習後に軍手をはめ、壁にボールを当てて取る自主練習を繰り返した。高校最後の夏の県予選は、6番打者で出場したが「一本もヒットを打てずに終わった」。 それでも野球をあきらめず、進学した創価大では「母校の選手をまた取りたいと思ってもらえるように」と、厳しい練習に励んだ。 「僕はへたくそだったけど、あきらめずに取り組んだことで、結果を出してこうして指導者にもなれた。選手たちには、自分の可能性を限定してほしくない。たとえ今補欠だったとしても、きっと花開く時が来ると信じて取り組んでほしい」 八女市出身で、高校は寮生活。3年生で寮長も務めた。規律正しい生活を学び、先輩後輩の関係や「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」といった大切なことを教わった。 江口祐司監督(56)の「当たり前の事を当たり前に」という言葉が印象に残る。「高校では野球を教えてもらったというより、人間性や社会に出る上での振る舞いを教えてもらった」と感謝する。 「中身が濃かった分、一生もの」と、当時の部活仲間とは今でも年1回は集まる。16年4月の熊本地震の後は、寄付金を集めて支えになってくれた。 選抜大会に初出場する後輩たちに「No Attack No Chance!」(攻めなければチャンスは来ない)とのメッセージを寄せた。これはホンダ熊本の打撃チームのスローガンでもある。「強いチームに勝つためには、リスクを背負ってでも攻めていかなければ勝てない」。甲子園という大舞台に気後れすることなく、挑戦する姿を願う。 〔福岡都市圏版〕