デュア・リパ来日公演レポ 怒濤のダンスパーティーを司るクイーンの貫禄
グローバルポップアイコン。デュア・リパ、アルバム『RADICAL OPTIMISM』を引っ提げての6年ぶり2度目の来日公演はチケット完売のさいたまスーパーアリーナ2デイズ。11月17日公演の模様をレポートする。 【ライブ写真ギャラリー】Radical Optimism Japan Tour(8点) 思い思いのファッションに身を包んだオーディエンスでぎっしり埋まったさいたまスーパーアリーナ。巨大ビジョンに「RADICAL OPTIMISM」という文字が映し出された。荘厳なサウンドに合わせてステージ上に設置された階段などでダンサーたちが踊り出し、プライマル・スクリームの「Loaded」が流れた。ビジョンに映る「TRAINING SEASON‘S OVER」という文字が点滅する。『RADICAL OPTIMISM』収録の哀愁漂うグラマラスなナンバー「Training Season」からライブはスタート。ダンサーたちと一緒に艶やかに踊るデュアが「TOKYO!」と声を上げた。圧巻のオープニングにオーディエンスは大きな拍手を送った。 デュア・リパの名を広く知らしめたカルヴィン・ハリスとの「One Kiss」で場内は一気にダンスフロアに変貌。凛とした表情でステージの下手から上手に移動しながらハスキーで伸びやかな歌を聞かせ、長い手足を活かしたしなやかなダンスをするデュア。オーディエンスはその一挙手一投足にビビッドに反応する。「Singing!」と言ってマイクを上げると約2万人がシンガロング。デュアが「Tokyo! Ready?」と言ってキックをし、「Jump! Jump!」と煽るとオーディエンスが一斉にジャンプし、会場が激しく揺れた。 シームレスで「Illusion」へ。大歓声が上がる中、生バンドの演奏が熱気を帯びると共にデュアとダンサーたちのダンスも熱気むんむん。久しぶりに日本に来れ、2日目の公演を迎えられたことを嬉しそうに告げたデュアがカウントダウンをして、煌びやかなアレンジによる「End of an Era」へ。カラフルな布を回しながら踊るダンサーたちの中心で堂々と歌を聞かせた。 この序盤だけでもう完璧だった。マドンナやカイリー・ミノーグのDNAを受け継ぎ、20年代のダンス・クイーンとして降臨するデュア・リパ。大胆なアレンジが施されている楽曲も多く、最新のグルーヴでオーディエンスを踊らせ続けた。 ビジョンに夜のビル群が映る中、シンガロングが響いた「Break My Heart」。幻想的なパフォーマンスで魅せた「Pretty Please」。オーディエンスをしゃがませて一斉にジャンプさせたシルク・シティとの「Electrisity」。客席で無数のスマホライトが輝いたエルトン・ジョンとの「Cold Heart」。幾度となくピークが訪れ、あっという間にライブは進んでいった。 ピアノとデュアの歌だけが響き渡った「Anything for Love」は最後はアカペラで見事なヴォーカリゼーションを披露し2万人を酔わせた。デュアが日本語で「ありがとうございます」と伝えると大きな歓声が上がった。強靭なドラムが響き、ハンドクラップがスタート。デュアが「どうだった? 良い時間を過ごせた?」と話しかける中、ビートがどんどん早くなり、「Happy for You」へ。『RADICAL OPTIMISM』を締め括る「あなたが幸せで良かった」というメッセージをエモーショナルな歌とダイナミックなバンドサウンドで届けた。マイクスタンドを巧みに操るパフォーマンスを見せた後、「Tokyo! Thank you so much! Good Night!」と力強く言い放って、デュアは本編を締め括った。 アンコール。まずは、重厚なバンドサウンドの中、「Come on! Let’s get『Phisical』!」というデュアの声が響き「Physical」へ。ある女性の話をし始め、社会現象になった映画『バービー』の挿入歌「Dance The Night」を披露。ビジョンに映ったバービーがくるくると回り、「I could dance」というフレーズが媚薬のような手触りを宿しながら何度も響き渡った。そのまま「Don’t Start Now」に突入するのだからたまらない。サビはもちろんシンガロングが巻き起こった。デュアが「TOKYO! One more time!」と叫ぶと再び紙吹雪が勢いよく舞い、最後の楽曲「Houdini」へ。オーディエンスへの感謝を口にしながら花道をダンサーと一緒に歩き、「I love you!」と叫んだデュア。一瞬の隙もない怒涛のダンスパーティーだった。
Kaori Komatsu