自民党の茂木敏充政調会長が会見(全文1)アベノミクスでデフレは解消
経済構造改革のポイントについて
茂木:そこの中で経済構造改革についてポイントだけ申し上げたいと思うんですが、1つやはりこれから地域で中核となるような企業、それから今後、地域で成長していくような企業の生産性を改善するというのが、鍵を握ってくると思っております。これはアベノミクス自身のエンジンを大企業から中核企業、中小企業に広げていくということでもあります。時間の関係で詳しくお話できませんが、もしこのあと質問があれば、この点について詳しくお話をさせていただきたいと思います。 こういった中小企業の生産性の改善と併せてもう1つ重要なのが、第4次産業革命を牽引者とする新たな有望市場、これを日本で創出していくことであります。これは21世紀型の日本のリーディングインダストリーを創出する、こう言ってもいいと思っております。 3つぐらいポイントがあると思っておりまして、その1つは第4次産業革命をリードする重点分野。例えば自動走行であったりロボット、それからIoTなどでの事業拡大へ、官民共に共同のコミットメントをしていく、そして事業拡大のロードマップを策定していくということであります。例えば自動走行。確かに高速道路でもこれ、活用できるわけでありますが、これからの地方を考えたときに高齢者、たくさんいらっしゃいます。近所の八百屋さんがなくなってしまった。何キロか先のスーパーまで買い物に行かなきゃならない。なかなか70代の方、80代の方、そこまで行くのは運転も大変なわけでありますけれど、自動走行の車ができることによってそういった地方にいらっしゃる方の、生活圏そのものを広げる。まったく世界が違ってくると思っております。 この第4次産業革命をリードする重点分野。これ、オリンピックで言ってみると日本がメダルを取れる種目、これを強化していくということでもあると思っております。それと同時に2つ目として、第4次産業革命の波及によって巨大な潜在市場を開拓していく。医療、介護であったり、エネルギー、農業などが、この分野でありますが、ここでは例えば公的な保険の適用など普及につながる、制度的なインセンティブの付与などによって市場は大きく広がっていくと思っております。第1のポイントがメダルが取れる種目、これの強化だとしますと、今、申し上げた2番目のポイントは競技人口の多い分野の底上げということになってくると思っております。 そしてこれらの成長分野創出のための基盤整備、これが3つ目に重要だと考えておりまして、例えば人工知能に関するグローバル研究拠点を日本に置いて整備をして、そして、そこに先端の人材を集め、育成をしていく。さらには先ほど申し上げたように個人の金融資産、これは1,700兆まで膨らんでいるわけでありまして、これを活用してファンドを通じて資金提供を、こういった成長分野にしていくような仕組みづくり。こういったことが必要ではないかな。こういった基盤の整備。言ってみますと経済版のナショナルトレーニングセンター、こういったものをつくっていくということになるんじゃないかなと思います。 もう1つの改革、働き方改革の主要政策について若干、議論をしていきたいと思うんですけれど現在、考えております主要なポイント、5つあります。最初は非正規雇用の処遇改善っていうことでありまして、この分野では同一労働同一賃金の法整備を進めていきたいと考えております。 2番目は長時間労働の是正ということでありまして、特にマスコミの皆さんには大きく関わる問題だと思いますけれど、労働基準法のいわゆる36協定、労使協定によって時間外労働の上限がなしと、こういう協定でありますが、これについて、例えば月何時間までといった時間外労働の上限を新たに規定していきたいと考えております。 この問題、各企業の自助努力によってうまくいくかという問題でありますが、これから3カ月に以内に厚生労働省できちんとまずやっていただいたら、私は自主規制でもいいと思いますけれどおそらくできないんではないかなと。やはり長時間労働の是正、長年の習慣とか体質的なものもあって当然、特殊事情には配慮する必要があるとは思っておりますが、一定の法的基準を設置することが必要だと思っております。 3番目は柔軟な働き方への環境整備で、働き方に中立的な税制、社会保障制度をつくっていくということであります。ここで目玉になりますのがパート労働者の、いわゆる103万円の壁を除去する税制改正であります。具体的にはまず現在の配偶者控除からパートの収入の上限がない夫婦控除に移行していきたいと考えております。 4つ目は希望する分野への就労に向けた人材育成の話でありまして、先ほど雇用のミスマッチの話を申し上げましたが、この解消に向けた人材の育成、職業訓練であったりとか資格の取得、社会人の学び直し、こういったことに雇用保険の積立金を活用できないかと、このように考えております。実は雇用保険の積立金、10年前には積立金の残高、1兆円前後だったのが最近、雇用情勢の改善によりまして残高がいまや6兆円を超えております。さらに雇用保険の2事業、雇用安定事業、能力開発事業に限っても資金の残高がさらに1兆円以上と、こういう状態にありまして、このお金を積極的に人材育成に使っていくということが日本における雇用の流動性を高め、より成長分野にそういった人材が向かい、そしてその人の所得も上がるということにつながっていくと思っております。 最後5番目ですね。女性や高齢者の活躍の促進に関連しまして、この促進のために拡大することになりました保育園などの受け皿、施設の整備に加えまして、どうしても育児であったりとか介護の人材不足の解消が重要であります。この関係で外国人勢の受け入れの在り方について、必要な分野に着目して、具体的により積極的に受け入れると、こういった検討を進めていきたいと思っております。 今回の今、申し上げた経済構造改革そして働き方改革、これまで手の付かなかった法改正であったり税制改正、予算措置などについて早期に、かつ具体的な結果を出す取り組みにしていきたいと、そんなふうに考えております。冒頭、自民党の政務調査会の役割について、1つは政府が作るさまざまな政策について与党としてしっかり精査をして、それを承認していくと、こういう役割があるわけでありますが、もう1つ、党自らがより積極的に政策を提言していくと、こういう役割も持つわけでありまして今回、働き方改革、そして経済構造改革につきましては、もちろん政府と連携を取っていきますが、単に政府から出てきた政策提言について党で精査をして承認を取る、こういう形ではなくて、むしろ積極的に党の側からさまざま、今、申し上げたような点も含めて提言をして、全体の議論をリードしていく、こういう形も取っていきたいと思っております。 【連載】自民党の茂木敏充政調会長が会見 全文2へ続く