大谷翔平移籍後初、メジャー7発目の先頭打者弾で思い返される、日本中が沸き返った8年前の伝説の一振り
ドジャース・大谷翔平が止まらない。プレーボールから4球目だった。現地6月20日(日本時間21日)の敵地ロッキーズ戦の初回、左腕タイ・ブラックの真ん中付近へのシンカーを捉え、樹木で覆われたセンターバックスクリーンへ運んだ。ナ・リーグ単独トップに立つ21号ソロは、移籍後初の先頭打者本塁打。大谷はエンゼルス時代には2021年に4本、2022年に2本の先頭打者本塁打を放っており、メジャー通算7本目の先頭打者弾となった。 【動画】センターへ見事な放物線を描く!大谷翔平が21号本塁打を放つシーン チームを5-3快勝へ導く力強い一振りだった。打線の核であったムーキー・ベッツを負傷離脱で欠いて臨んだデンバーでのロッキーズ4連戦は、3勝1敗の勝ち越し。4回に11号ソロで続いた3番のフレディ・フリーマンはMLB公式サイトの取材に「頼りにしていた選手が何人かいなくなったとしても、このシリーズのようにステップアップできる。ここには素晴らしい選手たちがいて、毎日質の高いプレーをしようと必死だ。できなくても、後ろの打者を信じて何とかしようとする」と苦境のチームに生まれているムードについて口にした。 メジャーでは通算7発目の先頭打者アーチとなったが、日本のファンには忘れられない光景がある。大谷が日本ハム時代に唯一放った先頭打者弾。歴史に残る一発は、2016年7月3日、ソフトバンク戦が行われた当時名称ヤフオクドームで描かれた。 この試合、大谷は「1番・投手」で出場した。1番・投手でのスタメン出場は、NPBでは1971年のヤクルト・外山義明以来、45年ぶり3人目のことだった。注目の第1打席、ソフトバンク先発の中田賢一の初球スライダーを見逃さなかった。右中間席へのプレーボールアーチ。プレーボールからものの数秒でスコアボードに「1」を刻んだ。当時大谷は野球人生通じての先頭打者本塁打の経験を問われ、「初めてだと思います」と答えていた。 大谷はその後も8年後の現在まで、数々の離れ業を演じてきたが、日本ハム時代に残したインパクトではかなりの上位にランクインするだろう。しかも投げては8回5安打無失点で10三振を奪い、8勝目を挙げた。当時の栗山英樹監督が「プロ野球が持つロマンを」とみせた起用法には賛否両論もあったのだが、そんな雑音も一振りでかき消し「まるで漫画のような活躍だ」と全国の野球ファンが沸き返った。 現地21日(日本時間22日)からは本拠地ドジャースタジアムに戻り、古巣エンゼルスとの初の公式戦での対決となる2連戦が待つ。どこよりも因縁深い対戦相手に、どんなドラマが起こるのか。ファンはますます、新たなロマンとインパクトを、この男に求めてしまう。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]