漁業者らと交流、熱心に耳を傾け 天皇、皇后両陛下の大分訪問1日目
天皇、皇后両陛下は9日、「第43回全国豊かな海づくり大会」に出席するため大分県に入られた。栽培漁業の拠点である国東市の種苗生産施設や大分市内のホテルで漁業関係者たちと交流。漁業を続ける上での苦労、海の資源を守るための工夫について熱心に耳を傾けた。沿道で出迎えた大勢の県民にも笑顔で応じていた。 種苗生産施設では、魚やエビを卵から放流するサイズまで育てている。両陛下はマコガレイの稚魚への餌やりを体験。「かわいらしく、餌をつつく稚魚たちを見ながら、大分県の豊かな海で大きく成長していく姿を思い浮かべました」との感想を侍従を通して公表した。 大分市のホテルでは、地元の漁業者らと懇談。中津市でアサリ漁の復活に取り組む田中浩二さん(62)から、漁獲量が数十年前のピーク時から半分以下に減ってしまった状況を伝えられると、両陛下は驚いた表情を見せた。養殖試験に挑戦中だという説明を聞いた雅子さまは「みなさんが努力しておられるので、回復していくといいですね」と言葉をかけた。田中さんは懇談後の取材に「両陛下が中津の海のことを心配して質問をしてくださって、うれしかったです」と話していた。 両陛下も侍従を通して発表した感想で「漁業環境の保全や資源管理に取り組みながら、かつての漁獲量の復活や将来を担う子供たちの育成など、地域のことを思いながら豊かな海づくりに取り組んでおられる各地の方々からお話をうかがい、うれしく思いました」との気持ちを明かした。 両陛下は10日に大会式典や稚魚の放流行事に臨み、帰京する。【山田奈緒】