親知らずを「入院」で抜歯!? 入院が必要になる時やメリット・デメリット、費用や入院期間を歯科医が解説
親知らずの抜歯といえば通常の治療と同様に「日帰り」でおこなうのが一般的ですが、場合によっては1~2泊の「入院」で抜歯するケースもあるようです。今回は親知らずを入院で抜歯するのはどのようなケースか、また入院による抜歯のメリット・デメリットなどを「横浜駅西口歯科第2医院【親知らず外来】」の鈴木先生に解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
入院して親知らずを抜歯するのはどんなケース?
編集部: 親知らずを通院ではなく、入院して抜歯するケースがあると聞きました。具体的に、どのような場合に入院が必要になるのでしょうか? 鈴木先生: 親知らずの抜歯に局所麻酔以上の麻酔、具体的には「全身麻酔」を用いる場合は入院が必要です。具体的なケースに、神経にべったりと引っついている親知らず、極端に深いところに位置している親知らずの抜歯があります。また、親知らずの周囲に「嚢胞(のうほう)」という袋状の病変があるケースでも、入院による抜歯を検討していきます。 編集部: なぜ、このようなケースは入院して全身麻酔をする必要があるのでしょうか? 鈴木先生: 抜歯に際して患者さんの身体的負担が大きくなるからです。親知らずやその周囲の病変が神経や血管に近い場合、抜歯の際に痛みが強く出たり、出血が多くなったりすることが予想されます。このような場合に通常の局所麻酔ではなく、全身麻酔を用いると患者さんの負担も少なく済むことに加え、抜歯処置を安全にすすめることができます。 編集部: 安心・安全のための入院なのですね。ほかにも、親知らずの抜歯で入院になるケースはありますか? 鈴木先生: 歯科治療に対する恐怖心が強い人や、嘔吐反射が強くて器具が口にはいるとえずきやすい人の抜歯でも、入院による抜歯を検討することがあります。
入院して親知らずを抜くメリット・デメリット
編集部: 入院して親知らずを抜くと、どんなメリットがありますか? 鈴木先生: 抜歯後にトラブルが生じた場合に、すぐに対応してもらえる安心感が入院の最大のメリットでしょう。例えば、親知らずを抜歯した後に「血が止まらない」「薬を飲んでも痛みが引かない」といった場合でも、入院中は症状に応じた的確な処置が受けられます。とくに、痛みについては点滴の痛み止めが使えるので、痛みが強くでた場合でも速やかな対応が可能です。 編集部: では、入院して親知らずを抜く場合のデメリットは何ですか? 鈴木先生: 入院まで何回か通院が必要なことや、入院によって2~3日ほど学校や仕事を休む必要があるなど、通常の抜歯よりも手間や時間がかかってしまうことがデメリットに挙げられます。また、入院の費用が別途必要になるため、通院による抜歯よりも治療費が高くなります。 編集部: 確かに「入院」となると手間暇がかかるので、抜歯のハードルも高くなります。「やはり入院はしたくない」という場合、ほかの手段や方法はないのでしょうか? 鈴木先生: 「なぜ入院が必要か」「なぜそう判断されたか」という理由によって様々な考え方があると思います。入院が推奨されるケースでも、患者さんの協力次第では通院による抜歯が可能な場合もあります。ただ、それに伴うリスクや患者さんへの負担が大きくなることは、よく理解しておく必要があるでしょう。それでも「どうしても入院は避けたい」という場合は、当院のように静脈内鎮静法を用いて日帰りで抜歯できる歯科医院もあるので、そういう歯科医院を探してみるのも1つの方法です。