価格は3767万5000円! ウブロの新作はクセ強にも程がある!── GQ新作ウォッチ「MP-10 トゥールビヨン ウエイト エナジー システム チタニウム」
ウブロの最新マニュファクチュールピース「MP-10 トゥールビヨン ウエイト エナジー システム チタニウム」は、ダイヤルも針もない! 世界限定50本の価格は3767万5000円。 【写真を見る】時刻はどうやって読む?(全11枚)
まさにアート・オブ・フュージョン!
「MP-10 トゥールビヨン ウエイト エナジー システム チタニウム」はウブロのMP(マニュファクチュールピース)コレクションの第10作目にあたる。 直径54.1×41.5mm、厚さ22.4mmは、スペックの通り威圧的だ。まさに弩級という表現が相応しい。ところが、目から入ってくる情報の割に、腕に巻いた印象ははっきりと軽い。 ひと目でわかるのは、ダイヤルや針といった、時計のフォーマットが省かれていること。592個の部品、2つのリニアウェイト、傾斜したトゥールビヨン、円形のパワーリザーブインジケーターを持つ、新しいキャリバーという情報だ。 光沢のあるマイクロブラスト仕上げのチタニウム製ミドルピースと裏蓋の2ピースが組み合わされたケースは、流線型のフォルムが印象的だ。これが、3軸の傾斜面を組み合わせた複雑な形状のサファイアクリスタルによって覆われる。説明するまでもなく、製造工程は気が遠くなるほど複雑で困難だ。かつて取材で訪れたスイス本社にある素材R&D部門、素材加工のラボの職人たちの顔が浮かぶ。一体型ラバーストラップも含めて、マニュファクチュール史上最も洗練されたデザインと言い切っていいだろう。
ダイヤルも針もない!
ダイヤルと針がない、と前述したが、すべての表示は、中央で回転するローラーディスプレイ、つまりキャリバーから読み取る。ホワイトラッカーの目盛りを持つブラックのアルミニウム製ローラーと赤いポインターによって現在時刻を示す仕組みだ。 グリーンとレッドが表示するのはパワーリザーブインジケーター。約48時間のパワーリザーブに対する残量をここで視覚的に確認できる。 機械式時計にはおなじみの半円形ローターは存在しない。ムーブメント左右に配されたウエイトの往復運動によって主ゼンマイを巻き上げる。つまり、機構としては自動巻き、ということになる。 これが時計なのかどうか、そこに大した意味はないだろう。“デカ厚”のようないわゆるビッグ・トレンドが見当たらない近年の時計業界ではあるが、各社はアーカイブを見直して、復刻モデルや周年モデルで独自性を表現しようとしている。各社が小ぶりなヴィンテージ風の時計に注力する中で、ウブロのMPコレクションはまさに異彩を放っている。 新作の発表に際して寄せられた、CEOのリカルド・グアダルーペのコメントで締めくくろう。 「ウブロのMPコレクションは、既存の複雑機構を刷新するだけでなく、特別なものを創造し、発明し、構築し、時計製造の研究開発において新たな道を切り開かなければなりません。私は、デザイナーと時計職人に全権を委ねました。このモデルは彼らの努力の結晶です。今後は、『MP-10 トゥールビヨン ウエイト エナジー システム チタニウム』の ”誕生前”と “誕生後”という言葉で語られることになるでしょう」 ウブロはブレない。
HUBLOT MP-10 トゥールビヨン ウエイト エナジー システム チタニウム チタニウム+サファイアクリスタルケース×ブラックラバーストラップ、自動巻き、縦54.1×横41.5mm。世界限定50本、3767万5000円。 文と編集・神谷 晃 AKIRA KAMIYA(GQ)