【2024年度】厚生年金と国民年金は実質目減り。年金生活者支援給付金はいくらになった?
2024年度の年金「実質は目減り」と言われる理由。マクロ経済スライドとは?
年金額は、毎年「賃金変動率」や「物価変動率」等により毎年改定されます。 また、平成16年の年金制度改正によってマクロ経済スライドが導入され、年金の給付水準が調整されるようになりました。 賃金・物価による改定率がプラスの場合、本来であればその分の年金が増額されます。しかし現役の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて算出した「スライド調整率」を差し引くことによって、年金の給付水準が調整されるのです。 2024年度は物価変動率が3.2%、名目手取り賃金変動率が3.1%となりました。ここにマクロ経済スライドによる調整が▲0.4%働き、最終的には2.7%のみの増額となったのです。 つまり、物価の上昇ほどには年金額が上がらず、年金世代にとっては「実質目減りする」という現状があるのです。
年金生活者支援給付金の支給金額は「3.2%」の増額改定
一方、2024年度の年金生活者支援給付金は3.2%の増額改定となります。 ・老齢年金生活者支援給付金:5,310円 ・障害年金生活者支援給付金:1級 6,638円、2級 5,310円 ・遺族年金生活者支援給付金:5,310円 年金生活者支援給付金とは、公的年金やその他の所得の合計額が一定水準以下となる方に、生活の支援を図るために年金に上乗せして支給する年金です。 ただし、老齢年金生活者支援給付金は基準額となるため、実際の支給額は個人によって異なります。 保険料納付済期間や保険料免除期間等に連動するため、増額率が3.2%にならないこともあるので注意しましょう。
国民年金・厚生年金受給額の個人差に注目
2024年度の国民年金や厚生年金、年金生活者支援給付金の増額率について見ていきました。 今回紹介した金額は、あくまでも「満額受給できる場合」や「基準額」などのため、全員にあてはまるわけではありません。 そこで最後に、実際に支給されている年金の平均額を見ていきましょう。 2023年12月公表された厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から確認します。 ●国民年金(老齢基礎年金)の受給額 〈全体〉平均年金月額:5万6316円 ・〈男性〉平均年金月額:5万8798円 ・〈女性〉平均年金月額:5万4426円 平均は男女ともに5万円台ですが、ボリュームゾーンは6万円~7万円未満です。個人差はそこまで大きくありません。 ●厚生年金(老齢厚生年金)の受給額 〈全体〉平均年金月額:14万3973円 ・〈男性〉平均年金月額:16万3875円 ・〈女性〉平均年金月額:10万4878円 ※国民年金の金額を含む 平均額は14万円台ですが、受給額ごとの人数を見ると、ボリュームゾーンは「9万円以上~11万円未満」「17万円以上~18万円未満」にわかれることがわかっています。 厚生年金は現役当時の賃金や加入期間で受給額が決まるため、個人差が非常に大きくなるのでしょう。 やはり公表された年金額だけでなく、ねんきんネットやねんきん定期便などで個々に年金額を確認したほうが良さそうです。