最速148キロ右腕の横手清陵学院・藤井慧澄「チームを勝たせられる」エースを目指す/秋田
全国高校野球選手権大会(8月7日開幕、甲子園)を懸けた戦いが6日、宮城大会の佐沼対白石工を皮切りに東北各地で開幕する。同日に開会式が行われる秋田は、横手清陵学院の藤井慧澄投手(3年)の投球が見逃せない。春の県大会は3試合で30奪三振。最速148キロ右腕は課題の制球力に磨きをかけ、真のエースを目指す。 ◇ ◇ ◇ 藤井の持ち味は力強い真っすぐだ。「キレが良く、手元で伸びる」と自負する直球は春の県大会1回戦の湯沢翔北戦、スカウトのスピードガンで自己最速を更新する148キロを計測した。9回2安打無失点13奪三振の快投を見せると、3回戦の大館桂桜戦では9回6安打2失点で、11個の三振を奪った。 スピードだけでなく、重視してきた制球力にも磨きをかけてきた。冬には、1年時から取り組んでいる、両足をついたまま体の軸をぶらさず、内外角に直球を投げ分ける練習を反復した。昨夏や秋は「真っすぐすらあまりコースに決まらなかった」というが、この2試合で「真っすぐのコントロールが良くなって、そのおかげで徐々に変化球も良くなった」と実感。バッテリーを組む藤原碧希主将(3年)も「去年の秋から、ボールもそうですが、彼自身の野球人としての心構えも成長したと思います」と藤井の言葉を裏付ける。 とはいえ、まだ課題は残る。準決勝の秋田商戦は8回を投げ21安打11失点。初回から変化球でカウントが取れず、相手に狙い球を絞られた。「カウントが悪くなったときに真っすぐしか投げられなくて、それを打たれていた」。調子は悪くなかったが、定まらない制球を立て直せず「なんで打たれるんだろう」と、マウンド上で余裕を失った。 春の借りを返す-。最後の夏へ向け、制球が定まらない日でも体の力の入れ具合を変えるなどして、カウントを取れるように意識してきた。「ふがいないピッチングをしてしまった。もっとエースとしての自覚を持つ。どんな対戦相手でも、バッター1人1人に強い気持ちで投げていきたいです」。いま1度、エースとして目の前の相手に向き合う覚悟を固めた。 初戦は8日、能代科学技術と対戦する。「夏には150キロを出したい。球速だけでなくコントロールも磨いて、チームを勝たせられるピッチャーになりたい」。思い描くエース像を実現し、チームを甲子園へと導く。【濱本神威】 ◆藤井慧澄(ふじい・けいちょう)2006年(平18)8月17日生まれ。秋田県横手市出身。山内野球スポーツ少年団で野球を始め、横手南中では軟式野球部でプレー。同校では2年秋から背番号1を背負った。好きな野球選手はメッツ千賀滉大。179センチ、76キロ。右投げ右打ち。