福島県棚倉町の赤館山をシンボルに 町民有志が観光誘客へ花木の植栽、散策路整備
福島県の棚倉町民の有志は、町北部に位置する赤館山の魅力を向上させ、町のシンボルとする取り組みを28日、開始した。新たに設立したNPO法人が活動の中核となり、10年計画で約5ヘクタールに花木の植栽や散策路の整備などを進める。県内外から観光客を呼び込み、地域の活性化につなげる考えだ。 町によると、赤館山は中世の山城「赤館城」が築かれ、近世に棚倉城が築城されるまで城下を治めていた場所で歴史的に価値が高いとされる。頂上付近には町内を一望できる赤館公園がある。これまで地元の祭事組が景観の維持保全に取り組んでいたが、新型コロナウイルスの影響で資金調達が難しい状況となっていた。祭事組が資金を捻出するため赤館山の木を伐採したのを踏まえ、有志が花木を植栽して観光資源として磨き上げようと発案した。町観光協会赤館支部や祭事組、町商工会などが中心となり「NPO法人花見山赤館を創る会」を設立した。 今年は植栽や眺望整備を行う。初日は安全を祈願して御幣束を埋めた。今後、下刈りや高木の伐採など植栽に向けた準備を進め、四季を感じられるようにサクラやアジサイ、モミジ、サザンカなどを植える。
来年以降は遊歩道や観光案内標識を整備する他、休憩所やトイレを設置し、観光客が楽しめる環境を整える。将来的には城跡祭や城主慰祭などのイベント、健康促進事業などを繰り広げるとともに、町内の子どもたちの学習の場として活用できるようにする。理事長の近藤善一さん(77)は「観光、歴史の両面で子々孫々までつないでいける場所にしたい」と意気込んでいる。