恋の終着駅只見へ 映画「青春18×2君へと続く道」3日全国公開 福島県只見町、ロケ地マップ作成
福島県只見町を主な舞台とした日台合作映画「青春18×2 君へと続く道」が5月3日から全国公開される。話題作を連発する気鋭の藤井道人監督が台湾と日本の男女の恋を描き、JR只見線の只見駅や町内の風景が登場する。台湾では既にヒットを記録中だ。町はロケ地を紹介するマップを作り、バスによるロケ地巡りを企画するなど誘客に力を入れている。関係者は「只見町や福島県の観光振興の起爆剤に」と期待を膨らませている。 映画は台湾では3月14日に公開され、1カ月間で観客動員30万人を突破。現地で今年公開された作品では一番の集客となっている。町によると、映画を見たことを機に町内に足を運んだという台湾からの観光客も既に現れているという。町交流推進課観光係長の角田祐介さん(43)は「重要な場面で只見町が描かれ、町にとって大切な映画となった。作品の力を借りて町を盛り上げたい」と国内外からの集客を目指す。 物語では、台南のカラオケ店で働くジミー(シュー・グァンハンさん)が日本人旅行者のアミ(清原果耶さん)と出会い、恋心を抱く。アミの帰国を前に2人はある約束を交わした。18年後、ジミーは約束を果たそうと日本へ。東京や長野、新潟を経てアミの生まれ育った只見を目指す。
町が作ったマップにはジミーが降り立つ只見駅や伊南川に架かる黒沢橋、蒲生地区の商店、アミが暮らした設定の塩沢地区の民家をどの場面で登場するかを交えて載せている。町インフォメーションセンターで公開日の5月3日から配る。 町の観光周遊バス「自然首都・只見号」を活用したロケ地巡りも展開する。モデルコースや時刻表はQRコードから確認できる。 県によると、台湾から昨年、本県を訪れた観光客は9万1530人。県内への訪日客(インバウンド)全体の49%を占め、国・地域別で最多だった。映画がさらなる誘客を後押しする。 ■只見線再生や住民の地域愛 町の役割押し上げ 原作の紀行エッセーには福島県が登場するが、旅の通過点に過ぎない。JR只見線の再生の歩みと沿線住民の地域愛が藤井道人監督の心に響いたことで只見町に着目、ストーリー中の役割を押し上げていった。 藤井監督はロケ地を探す中、2011(平成23)年の新潟・福島豪雨で不通となった只見線を知った。沿線を視察すると、あちこちで「おかえり只見線」の文字を目にした。11年の時を経て再開通する経緯や、復旧に奮闘する住民の熱意に胸を打たれ、只見町を主人公の女性の故郷に選んだ。2022(令和4)年10月から会津若松フィルムコミッションと協議を進め、只見町と連携して撮影場所を選定。2023年3月に撮影にこぎ着けた。