トラウトサーモン海面養殖 根室の協議会、早期事業化へ実証試験
北海道根室市と市内の漁協でつくる根室市ベニザケ養殖協議会(会長・大坂鉄夫根室漁協組合長)は11日、トラウトサーモン(海で育ったニジマス)の海面養殖早期事業化に向けた実証試験を開始した。2年目の取り組みで、11月下旬ごろまで花咲港内に設置したいけすで1匹約2・5㌔の大きさまで育成し、生残率90%の2250匹の水揚げを目指す。 同協議会では2019年から3年間、根室港内でベニザケの海面養殖実証試験したが、高水温で十分な成果を得られず、22年度からは市水産研究所で陸上水槽による養殖実証予備試験を継続実施。ベニザケ養殖にはまだ時間を要するため、昨年からほかの地区で実績があるトラウトサーモンの養殖にも並行して取り組んでいる。 太平洋沿岸は夏季でも水温が18度程度とサーモン養殖に適していたが、昨年は20度を超える期間が約1カ月半にも及んだ。種苗3000匹のうち9割以上が高水温の影響で死んだため、生残率は1割にも満たず、平均重量800㌘、最大1・5㌔で終了した。今年度は養殖する幼魚の大きさを360㌘から1㌔に大型化し、高水温が予想される際は早期出荷も検討。淡水で飼育していた種苗を海水に慣らす時間も長くした。 この日は養殖用種苗などを生産しているファミリーパークさらべつで生産した1㌔のトラウトサーモン2500匹を活魚水槽8基で花咲港まで運搬。幼魚を小型水槽内で海水に慣らした後、12日に直径14㍍、深さ5㍍のいけすを花咲港内の比較的波の穏やかな場所に設置する。 市水産研究所の工藤良二所長は「昨年は高水温で良い結果は得られなかったが、今年は養殖する魚も大きくしたので順調な成長を期待したい。この地域にあった養殖方法を見い出しながら、技術を高めていきたい」と話していた。
釧路新聞