“3兆円規模”に急成長の日本アニメ、半数以上が海外市場 日本アニメに特化した米VOD「クランチロール」の功績
日本動画協会によると、日本アニメの市場規模はいまや約3兆円に上るが、その半数以上を占めるのが海外市場だ。VODで日本の作品が世界に配信されるようになったが、中でも、2006年に発足した日本のアニメに特化したアメリカのVODサービス「クランチロール」の功績は大きい。有料会員数は1300万人を突破し、日本アニメ映画をアメリカで上映する配給サポート等も行っている。ディズニー、ピクサー、マーベルなど、“強敵”が数多く存在する中、日本アニメは世界でどのように映っているのか。同社に聞いた。 【画像】Bershka×スパイファミリー、GUCCI×ばなにゃほか、クランチロールが手掛ける日本のアニメコラボグッズ
■ネットの違法アップロードで海外市場が冷え込んでいたアニメ業界を変革、清浄化へ
「クランチロール」は日本と中国を除く全世界に展開するアニメ専門のストリーミングプラットフォーム。設立されたのは2006年で、当時から日本のアニメに特化したサービスを展開してきた。 「当初から『クランチロール』は、日本アニメの可能性を強く感じていました。2000年代初期にネットでの違法アップロードが横行し、海外市場でのパッケージのセールスが落ち込んだ時期でもありました。そこと戦うには、なるべく早く、日本の放送と近いタイミングで“正規”に配信することが重要だと感じていたのです」(クランチロール・チーフコンテンツオフィサー・末平アサ氏/以下同) 2006年といえば、日本では『涼宮ハルヒの憂鬱』が放送された年。エンディングテーマの「ハレハレ愉快」ダンスが「踊ってみた」系動画で盛り上がり、学校の文化祭でも踊られる社会現象が起こったアニメで、日本のアニメ界でも一つの転換点となった年といわれる。 現在では、パートナー企業の協力のもと、放送前に作品の脚本を得て翻訳し、吹替オーディションを実施。キャラに合わせた現地の声と言葉で、日本の放送と同時配信を行うことができる作品も出てきているという。 「我々にとっても挑戦でしたが、日本の制作会社にとっても、素材を先に共有するというのは非情に大きなリスクだったと思います。日本のパートナーのコミットメントや協力なくして、今の海外マーケットはなかったのではないかと考えています」