元カープ永田利則監督率いる瀬戸内、「打つしかなかろう!」の鼓舞で延長十回4点差を逆転サヨナラ【全国高校野球選手権広島大会2回戦】安芸南8―9瀬戸内
苦しみ抜いた末、夏の1勝は格別だった。広島東洋カープに選手、コーチとして在籍し、昨秋から瀬戸内を指揮する永田利則監督。初戦となった13日の安芸南戦でタイブレークの延長十回、4点差を逆転し、サヨナラ勝ちを飾った。選手を出迎える際には感情がこみ上げ、涙をぬぐった。 2024年夏の高校野球広島大会勝ち上がり表(組み合わせ表) 一回に2点を先制し、2―1の三回にも2点を加えてペースを握った。しかし中盤以降、無得点が続くと九回に4―4に追い付かれ、延長戦へ。十回には継投が崩れ、4点リードを許した。消沈してベンチに戻ってきたナインを永田監督は「打つしかなかろう!」と鼓舞。崖っぷちで目覚めたナインは4安打を集中して追い付くと、最後は途中出場の信藤の一ゴロが野選を誘い、劇的な勝利を手にした。 「こんなはずじゃなかった。自分たちで試合を難しくして。前日の打撃練習でもみんな本当に調子がよかったのに。でも、これが高校野球。最後は全員でつないで勝った」。永田監督は喜びをかみしめた。 1980年、広島商からドラフト2位で広島入団後、生きてきたプロの世界。高校生の選手にはコーチとして間近で接してきた。「鉄人」金本知憲氏、現広島新井貴浩監督の猛練習ぶりを伝え、「やればできるんよ。今までやってきたことしか試合ではできん」と選手を励ましている。 春夏通算5度の甲子園出場を誇る瀬戸内を率いる重圧もある。「初戦で負けていたら大変なことになっていた。でも次の試合から気は引き締まる。勝ってよかった。試合を重ねていくことで私も分かっていくことがある」。62歳の新監督は一戦ずつ、選手とともに成長を誓う。
中国新聞社