「首都圏連続強盗」で使われた“シグナル”は「FBIでも解析困難」 テレグラムよりも高度に暗号化…警察は本当に主犯格までたどりつけるか?
捜査はどこまで
では、今回はどうだろうか。 「『シグナル』は『テレグラム』より高度に暗号化されたアプリです。登録や設定でミスなどしていない限り、主犯格までたどりつくのはかなり難しいのではないでしょうか」 と、前出の山田氏は指摘する。実際、米連邦捜査局(FBI)が手掛けた事件が参考になるという。 「FBIがある麻薬組織を追っていました。末端の売人などは、売買にシグナルなどを使っていることが分かりました。しかし、いくら売人を捕まえて持っているスマホを解析しようと試みても、時間とお金がかかるだけで主犯格を突き止めるための捜査は進みませんでした。やがて、組織内で信用のおける人間だけでやり取りをしているネットワークがあることを突き止めました。FBIはそのネットワークを洗い出し、中にいた人物を協力者に仕立て上げ、おとり捜査によって主犯格を逮捕しました。つまり、シグナルの解析はできなかったのです」(山田氏) すでに逮捕された30人超の実行役から、指示役につながる有力な情報を得ることが最優先である。これまでに判明しているところでは、指示役が使用したアカウントは「織田信長」「夏目漱石」「赤西」など、30近くあるという。 「合同捜査本部でデジタル・フォレンジック(電子鑑識)を担当するのは、ルフィ事件で消去されたメッセージを復元した、警視庁の捜査支援分析センターです」(前出・記者) 詳細な解析が待たれるところだが、主犯はどこに息を潜めているのか。山田氏はこう見る。 「ルフィ事件の影響もあり、すぐに海外を想像しますが、停電もなく、通信環境が安定している、つまりインフラが整っている国で、強盗する現場を下見しやすい場所――私は日本国内にいる可能性が高いのではと思っています。日本の捜査当局に逮捕されないためには、ルフィたちのようにフィリピンに長期潜伏することも考えるでしょうが、絶対に捕まらない=自分が特定されないという自信があれば、堂々と国内、それも都会のど真ん中にいてもおかしくありません」