「もう我慢の限界」 春の京都“観光公害”で地元民うんざり、迷惑行為に「ここはテーマパークじゃない」の声 もはや規制手段しかないのか
京都駅前はあちこちで大行列
春の観光シーズンを迎えた京都市が訪日外国人観光客であふれ、大混雑している。これまでの対策は十分な効果を上げられず、市民の我慢も限界に達しようとしている。 【画像】「えっ…!」 これが京都駅の大混雑が続く「バス乗り場」です(計12枚) ホームから烏丸口の中央改札へ向かう通路は大勢の訪日客でいっぱい。改札を出ればバスやタクシー乗り場、切符売り場に訪日客の長い列ができている。京都市の桜が満開になった4月7日の日曜日、下京区のJR京都駅は大混雑が続いた。 清水寺や祇園など訪日客に人気の東山方面へ向かうバス乗り場は、行列が乗り場を越えて地下街の入り口付近まで続く。最後尾では案内板を持つ係員が列の整理に汗だくだが、バスが到着しても積み残しが出て、列がなかなか動かない。 母国のオーストラリアから来日した友人と新幹線でやってきた東京都の女性英会話教師(27歳)は 「シドニーでこんな経験はないから、イライラする」 と重いキャリーケースを引きずりながら、流ちょうな日本語で話してくれた。
人気観光地も大混雑
混雑は市内の人気観光地でも続いた。東山区の清水坂は狭い坂道が人で埋まっていた。その下の五条坂では観光バスやタクシーが渋滞に巻き込まれ、立ち往生している。清水坂にある土産物店の店員は 「4月に入って連日こんな感じ。店は繁盛してうれしいけど、忙しくて大変」 と苦笑いする。 右京区と西京区にまたがる嵐山は人の波が車道にあふれた。京都駅と嵯峨嵐山駅を結ぶJR嵯峨野線は通勤ラッシュを思わせる混雑ぶり。左京区の哲学の道や北区の金閣寺も人でごった返していた。 混雑の影響を最も被っているのはバスで移動する高齢者や学生だ。特に多くの観光地を抱える東山や繁華街の四条河原町を通る路線は混雑がひどい。 7日も東山区清水五条のバス停留所で市バスと京阪バスが続けてやってきたのに、バスが去った後も10人以上が停留所に残されていた。
迷惑行為で市民の我慢限界
観光客の迷惑行為も目立つ。 茶屋が並ぶ古い街並みが風情を感じさせる東山区祇園の花見小路周辺では、私道のなかに入り込み、禁止されている写真撮影をする訪日客が後を絶たない。 舞妓(まいこ)さんが取り囲まれて動けなくなったり、勝手に家のなかに入られたりすることも過去に度々あった。 住民の厚意でこれまで通り抜けを認めてきたが、地元の協議会はやむなく、私道のうち奥に舞妓さんの置き屋を兼ねた茶屋がある小袖小路を観光客立ち入り禁止にする方針。近くの飲食店で働く40代の女性は 「テーマパークと勘違いした観光客がいる」 と憤っていた。