巨人・井上温大 指揮官の“愛情”を受けて/飛躍のシーズン
“阿部チルドレン”の名前を挙げるとするならば、まず井上温大だろう。まだ表情にあどけなさも残る23歳の左腕は、アメとムチで育ててくれた阿部慎之助監督に最高の恩返しをした。 【選手データ】井上温大 プロフィール・通算成績・試合速報 「最初は(防御率)3点台で自分の中ではOKだと思っていたんですけど、登板を重ねるにつれてゼロ(無失点)で積み重ねることができた。すごい成長できたなと思います」 自身で振り返ったとおり、日を追うごとに成長を遂げた高卒5年目の今シーズンだった。中継ぎで結果を残して交流戦の途中から先発ローテーションに食い込むと、7月33に地元、前橋での中日戦で8回無失点と好投。そこから自身5連勝を果たし、優勝争いが激化したシーズン終盤はローテの一翼を担った。8勝5敗、防御率2.76。昨季までの通算1勝から一躍、ブレークを果たした。 井上は阿部監督が現役を引退して二軍監督に就任した2020年に入団。1年目からその指導を受けてきた。今季の登板後は「(ベース)カバーリングもできないから、バチが当たってホームランを打たれたんじゃないですかね」など、指揮官からメディアを通して厳しい言葉を掛けられるのが恒例だった。 ただ、その裏にある深い愛情を理解しているからこそ井上も、「厳しいことを言ってもらえるのは自分に必要なこと」と素直に受け止めている。父親のような存在でもある阿部監督のために、次は日本一達成に向けて、腕を振る。 写真=BBM
週刊ベースボール