冬のハルビンにおいでやす
【東方新報】中国で冬らしさを満喫するには東北地方への旅行がおすすめだ。中でも欧風の街並みを擁し、聖ソフィア大聖堂や聖アレクセイ教会などの美しい建築に出会える黒竜江省(Heilongjiang)のハルビン市(Harbin)は旅先として人気が高い。特に冬は大型イベントが盛りだくさんだ。 冬至を迎えた昨年12月22日、市内を流れる松花江(Songhua River)の凍結した川面を会場にする「ハルビン松花江 氷と雪のフェスティバル」が始まった。2018年に始まり6回目となる同フェスは、過去には訪問客が200万人を超えた年もあり、冬の大型イベントとしておなじみとなった。 同フェスのメインコンセプトは「遊び」。会場には氷の滑り台や乗り物など40余りのアトラクションが設置されるが、そのうち3分の1は子供用の滑り台や氷上ブランコといった公益無料プログラムということを知れば、さらに心が温まる。 この日は「全国大衆氷雪シーズン」の開始イベントとも重なった。これは冬季スポーツの振興を目指し国家体育総局が提唱する活動。そのため、同フェスの会場では雪上サッカーやそりなど氷上スポーツの体験エリアもできた。 当日の気温マイナス15~23度の極寒だったにもかかわらず、国内外の観光客でにぎわった会場の至る所で、雪煙と歓声が巻き起こった。 これより一足先の18日に開幕したのが、日本でも時折ニュースなどで紹介される「ハルビン氷雪大世界(Harbin Ice and Snow World)」。初日は開演から3時間足らずで入場者が4万人に達したという盛況ぶりで、入場の待ち時間が長すぎてチケットの払い戻しを求めた人まで出たというくらいだ。 今年の会場面積は過去最大の81万平方メートル。美しく幻想的な像や彫刻の建設には25万立方メートルの氷と雪が使われた。目をひく「氷雪の冠」と名付けられたメインタワーは高さ43メートルで16階建てのビルに相当。定番人気の氷の滑り台は、これまで8本だったスライダーが14本に増え、壮麗さも増した。 今年の盛り上げに一役買っているのが、斉浜英(Qi Binyin)監督によるドキュメンタリー映画『氷建王国(英題:Ice World)の公開だ。氷祭りの建設に関わる1万人にも達する労働者たちの仕事や生活を追った作品。撮影は4年にわたったという。夏は農業に従事し、冬のいわば「季節労働者」として携わる彼らが、美しい氷の世界を生み出す様子が描かれる。 同作品は国内外で好評を博し、2022年のロサンゼルスインディペンデント映画祭で最優秀長編ドキュメンタリー賞を獲得。国内では12月18日にオンラインで封切られ、北京市や上海市など10都市では劇場公開もされた。 冷え込みが増せば増すほどかえって熱を帯びるハルビンの「熱い冬」は、まだ始まったばかりだ。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。