博多ストーカー殺人、元交際相手に懲役20年判決 待ち伏せは認めず
JR博多駅前で昨年1月、元交際相手の女性(当時38)を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われた住所不定、無職の寺内進被告(32)の裁判員裁判の判決が28日、福岡地裁であり、冨田敦史裁判長は懲役20年(求刑懲役30年)を言い渡した。 判決によると、寺内被告は同法に基づく禁止命令を福岡県警から受けたのに、昨年1月16日夕、福岡市博多区の路上で、勤務先から博多駅方向へ歩いていた元交際相手の川野美樹さんにつきまとった上、胸や首などを包丁で多数回突き刺して失血死させるなどした。 公判で弁護側は、殺害行為は認めつつ、ストーカー規制法違反については無罪を訴えていた。冨田裁判長は、被告が博多駅付近で約3分間立っていたことについて、川野さんの勤務先ビルの人の出入りが見える場所でなかったことや、川野さんの退勤時刻が定まってはいなかったことなどを指摘。「待ち伏せしていた」とする検察側の主張を退け、「偶然見かけた」と認定した。 一方で、被告には川野さんへの未練や恨みがあったと認め、川野さんを見かけて声をかけた後に約7分間ついていった行為が、同法上のつきまといに当たると判断した。 その上で「警察を呼ぼうとした被害者に激高し衝動的に殺害に及んでおり、被害者に何ら落ち度はなく、被告の逆恨みというほかない。強固な殺意に基づく執拗(しつよう)かつ残忍な犯行だ」と指摘した。 弁護人によると、被告は判決後の面会で「被害者、遺族に申し訳ない。自分のやったこととして当然の判決だと思っている。深く反省しながら、一番に被害者の冥福を祈り続けたい」などと話したという。(上月英興、山本達洋)
朝日新聞社