【解説・衆院選の争点】「政治とカネ」巡る問題の影響は…政治ジャーナリスト・青山和弘さんが詳しく(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
(スタジオ解説) (高山 基彦 キャスター) 「every.しずおか」では、先週、今回の衆院選について視聴者アンケートを行い、528人の方にご協力をいただきました。ありがとうございました。 VTRでも紹介しましたが、いわゆる裏金問題での自民党の対応については「評価しない」「あまり評価しない」が合わせて70%を占め、「評価する」「やや評価する」と答えた人21%を大きく上回りました。 (徳増 ないる キャスター) また、裏金の問題は投票行動に影響するかどうか聞いたところ…。 (高山 基彦 キャスター) 57%の人が「影響する」と答えています。 (徳増 ないる キャスター) 青山さん、政治とカネの問題は全国的にみても、投票行動に影響があるとみていいんでしょうか? (政治ジャーナリスト 元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん) それはですね、岸田首相がなぜ退任したかといいますと、この裏金問題の責任を、自民党のトップとしてとったということで、その退任を受けて今回の総裁選を経て総選挙になだれ込んでいますから、当然、裏金問題は大きな争点になるというのは間違いないですね。投票行動に影響する…しないと答える人も少ないとは思うんです。ただ、一方で、この問題だけが、総選挙の大きな争点になっているかというとそうではないと思うんです。 (徳増 ないる キャスター) 実際、私たちのアンケートでは、みなさんに、どんな点を重視して投票するのかという質問もしているのですが、その答えは高山さん…。 (高山 基彦 キャスター) 投票する際に重視する政策、一人三つまでお答えいただきますと、やはり経済・産業政策が66%となっています。そして年金・社会保障が41%と、生活に関連する政策に関心が高いことがわかります。その次が政治とカネの問題でした。続いて防災・災害復旧、医療・福祉、外交・安全保障という順に選ばれていることがわかりました。 (政治ジャーナリスト 元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん) やはり政治とカネの問題は確かに腹立たしいし、政治の信頼に関わる問題なのですが、例えば、会社で言えば、コンプライアンス(法令順守)を一生懸命やりますと言っているようなもので、これは会社の規律の問題としては大事なのですが、ビジネスそのものではないんですね。政治の仕事は、やはり国民生活を良くすること、国民の生命や財産を守ることですから、間違いなく経済の問題であるとか、社会保障の問題、やはり国民の生活を良くするというのが大事ですから、政治とカネの問題は、そのベースにすぎないということを考えれば、やはり関心はあるけれども、上の二つ(経済・産業、年金・社会保障)みたいな政策は大事だというのは、これは納得がいく結論だと思います。 (徳増 ないる キャスター) 生活に密着する部分ですね。続いては与党の勝敗ラインについてみていきます。 (高山 基彦 キャスター) 公示前の勢力で自民党の議席は247でした。衆議院の定数465に対し自民党単独で過半数を占めていました。石破首相は、今回の選挙で自民党・公明党で過半数233議席の獲得を目標に掲げています。一方、自民党は、裏金問題で12人を非公認としまた、公認していても比例代表との重複立候補を認めない議員が34人いて、これら、46の選挙区での勝敗の行方が注目されています。 (津川祥吾 アンカー) 今の解説だと、勝敗ラインというのが過半数のところに引かれていますが、実は選挙ごとに、与党側の勝敗ライン、あるいは、ここを下回ると責任問題になるという…だいたい決まっているわけではないですよね。今回は、石破さんは過半数を目標としましたが、これはなぜでしょうか? (政治ジャーナリスト 元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん) やはり与党で過半数がとれれば、首班指名選挙で与党が投票すれば、もう一回、首相に選ばれるわけです。選挙後にもう一回、首相指名選挙が行われます。過半数を割り込めば、仮に野党が全員石破さんに入れなければ、石破さんは交代しなければいけないわけですね。つまり、やはり、政権が信任された…されないかという勝敗ラインというのは、やはり最大のラインというのは、与党で過半数というのが、私は理にかなっていると思います。 (津川祥吾 アンカー) 現在よりも議席を減らしても、それは石破さんの責任にはならないという… (政治ジャーナリスト 元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん) 責任としてはあるし、もちろん(獲得議席が)多ければ多いほどいいのですが、ではどこで責任をとらなければいけないか、それが勝敗ラインだとすれば、やはりこの過半数のところで、退陣の可能性が出てくるという意味だと思います。 (津川祥吾 アンカー) そのラインを超えるかどうかというのが一つの注目ですが、有権者の裏金に対する厳しい目というのがですね、どこに向いているのかというのが私はきになるのですね。いわゆる不記載をしてしまった議員、に対して厳しい目が向けられているのか、あるいは自民党全体なのか、あるいはむしろ政治全体に向けられてしまっているのか…、そういったことでまた選挙結果も変わってくるかと思いますが、その点はどうでしょうか? (政治ジャーナリスト 元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん) 今回、実は、前の前の週末、自民党で選挙情勢調査をやったんです。その時はものすごい厳しい結果が出て、先ほど勝敗ラインといった与党で過半数だって最悪割り込むかもしれないと、石破さんは退陣に追い込まれるかもしれないというような結果が出たんです。その時は、裏金議員は全員公認する方向で調整が進んでいたんです。ところが、それではまずいということになって、まず、比例代表がものすごく減ると、比例代表で重複させると、比例代表であなたの一票で書いた自民党が、裏金議員の復活につながるかもしれない…というような活動を展開されてしまうというのはやはりこわいということで、まず、重複無しというのが最初に決まったんです。さらに厳しくするということで、裏金議員の非公認も少し出そうということで、最初6人、そのうち二桁にしなければということで、12人まで積み上げたのですが、やはりこうすることによって、党全体に責任が被るよりも、裏金議員たちが、裏金問題を背負うというような効果もあるんです。で、この前の週末、改めて情勢調査をしたところ、やはりちょっと下げていた、支持率が下がっているベクトルが「下げ止まった」というような見方を今、自民党はしていまして、このあとの選挙戦で、この結果がどのようにさらに方向性がつながっていくのかというのが焦点になっているところです。 (津川祥吾 アンカー) 県内もそうなんですが、小選挙区では、自民党の候補の方も、「私は裏金議員ではありません」と「派閥には所属してませんでした」という方々もいるのですが、そういった選挙区でも、裏金問題というのは投票行動に影響が出そうでしょうか? (政治ジャーナリスト 元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん) それはもちろん出ると思います。たた、一人一人の議員によって対応というのは違ってくると思います。ただやはり今回の裏金問題というのは、個人の犯罪ではなくて、やはり党の背骨を支えていた派閥を舞台にして、組織的に、しかも継続的に行われていたものですから、それは自民党全体はこれは背負わなければいけない。ただ、先ほど言ったように、政治というのは、政治とカネの問題だけで動いているものではないというのも、その辺を有権者がどのように判断するかが焦点になってくると思います。 (津川祥吾 アンカー) 争点、焦点、マスコミ側が言う部分もあるのですが、有権者側からすれば今回の衆議院選挙、どういったところに注目すべきだと思いますが? (政治ジャーナリスト 元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん) やはり最大の争点は、石破さんという新しい首相が生まれてすぐ、最短の期間で総選挙になっていますので、この石破政権を継続させていいのかどうかというのがやはり争点だとは思うんです。ただ一方で、では野党側に任せていいのか…というのも同時に見なければいけないんですね。今回、特に野党はたくさんの候補者を出している、前回よりもかなり多く出していますので、有権者はいろいろ判断する材料、選択肢が増えていますから、それぞれの政策をよく見極めて大事な一票を行使してもらいたいと思います。