奇病で動物化する人々、溶けていく境目 仏映画「動物界」ほか3本 シネマプレビュー 新作映画評
「レッド・ワン」
米ハリウッドのサンタクロースものにはずれなし。これもそう。「ワイルド・スピード」シリーズなどのドウェイン・ジョンソンが、タフでマッチョなサンタの護衛隊長を演じる。人間の善性を疑い辞表を出すが、直後にサンタ拉致事件が起きる。善ではない人間の一人にクリス・エバンス。「キャプテン・アメリカ」とは打って変わって、だらしないひげ面。サンタの存在など信じないネットの追跡屋だが、サンタ救出作戦に巻き込まれる。
サンタの弟など欧州の伝承も混ぜ、なじみが薄いキャラクターも出るが、シンプルなアクションバトルものだ。ひと足早くクリスマス気分を味わいながら単純明快に楽しめる。米映画。
8日から全国公開。2時間3分。(健)
■「ベルナデット 最強のファーストレディ」
カトリーヌ・ドヌーヴが、仏のジャック・シラク元大統領を支え続けたベルナデット夫人を演じる軽妙なコメディー。レア・ドムナック監督が事実を大胆に改変して脚本化した。
1995年、シラク(ミシェル・ヴュイエルモーズ)が大統領に就任。だが、献身的に支えてきたベルナデットを、夫や周囲は邪魔者扱いする。我慢しきれなくなった彼女は、自分の真価を見せるために立ち上がる。
参謀ベルナール(ドゥニ・ポダリデス)の入れ知恵で、ベルナデットがシラクも無視できない存在にのし上がる過程が痛快。テンポのいい展開とドヌーヴの存在感で嫌みのない作品に仕上がった。仏映画。
8日から全国公開。1時間33分。(耕)